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アパートの最寄り駅につくと、急に腹が減ってきたから、駅前のコンビニで適当な弁当を購入。ちょっと帰りが遅くなっちゃったな、完全に日が落ちている。ぷらぷら手首からぶら下げながら家にむかっていると、前方にデカイ男が一人。おもわず、にや、と笑ってしまった。ぐぐっと、スニーカーが曲がるほど助走をつけて走り出す。
「だ〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜ぃい〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜〜きーーーーーーーーーッッッ!!!」
「グハッ!!!」
デカイ背中に飛び乗るが如くの突進。突然前屈みに倒れ込みそうになってる大輝をみて、また俺はニヤニヤしてしまう。
「え、だれ、え!?恋!?」
「何だよ大輝も今帰りかー!!っつうかまた牛丼!!男の一人暮らし!悲しい!!」
「うっせー!!そういうお前もコンビニ弁当持ってんじゃねえかよ!」
「うっせーなー!よーし帰ったら一緒に夕飯な!!」
ニヤニヤが止まりませんね!
なんか。ここ最近、俺が大輝に懐きすぎてヤバイとこまで来てる気がする。毎日のように顔を合わせてりゃそーなるか、とも思うけど。ちょっと異常かも。だって遠くから大輝を見つけただけで、嬉しくなって突進しちゃうとか!
「夕飯はいいけど…っつうか、お前今日遅いね」
「あ?そう?」
「大体俺より先に部屋にいるじゃん」
「ん?んー、まあ、色々あって遅くなった!」
そうやって適当にはぐらかすと「んー、あ、そう」と、生返事が帰ってきた。どーにも恥ずかしくていますぐ手帳を渡せないのと、リュックをあけたらオナホが見えてしまうだろう恐怖があるから、適当に流してくれるのは非常にたすかる。だから俺も話題をそらすように、大輝の持っている二枚の紙切れを指差した。
「興味なさそ!!あれ?っつかそれ何?」
「え?」
路地が暗いせいか、それがなんなのかビミョーにわからない。「…これは、」となにか説明しようとしている大輝の手の中から紙を奪い取ると、それは…
「遊園地のチケットじゃん!!!」
「おい、先に言うな」
「おー!!しかもここ最近チケット値上げしたとこ!!なに!お前誰と行くの彼女できたの!?」
遊園地のチケット!?しかも値上げしたとこのを?!大輝が?!なんで!?全然イメージにないからびっくりした。そういうの持ってるってことはデートか!また女か!という目で大輝を見る。
「うるせーなー、できてねーよどうせ!!」
「だよな〜〜万年修羅場だもんなぁ」
「やめろ同情の視線!!」
目を細めて憐れむような顔をしたら、頭をばしんと叩かれた。痛いっす。じんじんするそこを慰めるように撫でながら「いてーよ馬鹿!!」と叫ぶと、思っていたより声が響いたので慌てて口を押さえ、こそこそとアパートに向かって歩く。話し声もヒソヒソ話か!とツッコミを入れられても仕方ないぐらい小さな声になっていた。
「で、誰と行くの」
「え…え、っと〜」
気になっていたことを聞くと、なぜか大輝は言いづらそうに口をもごもごとさせる。……え?うっそまじで?
「え…まさか真面目に彼女できた?」
彼女、出来たなら、今日かったスケジュール帳は渡せないなぁ。仕方ないし俺が使うしかねーかなぁと、ぼんやり考えていると「いや、あの…できてたら多分お前に言ってるし」と、言われ、すこしホッとした。
いや、ホッとするとこじゃないんだけど!彼女、出来たほうがいいに決まってるんだけど!でも俺に彼女ができたら、俺も多分真っ先に大輝にいうだろうしなぁ。そう思うと自然と「ああ、そう、か」と納得のいった返事を返していた。
大輝がなんか唸ってるのが聴こえるけれど、俺はそれを特に気にすることもなく、奪ったままの遊園地のチケットをまじまじと眺めた。…ん?あれ、これ
「これ明日までじゃんか」
ますます、大輝がなんでこのチケットを持ってるのかわからなくなった。明日までの遊園地のチケットを、現在フリーの男が持ってる…って、だいたい想像つくけど。あはは、こいつまたかよ!さては女の子さそって断られたなー?
それをなんとなく、言い出せずにいるんだな!きっと!
俺の中で解決したチケットの謎。それに確信でも告げるかのように、気まずそうな表情をした大輝がぽりぽり、頬をかいている。
「その、さぁ」
「んー?」
グルグルグルグルグル。
牛丼となんかが入っているビニール袋。大輝の手首にかかったそれが、大輝の何も持っていない反対の手でまわされていく。あ、血とまりそう、と思うほど絡まって行くそれをみて、なんとなーく、察した。
「えーと…えーとだな、」
「おう?」
「あの〜〜〜…」
「…大輝」
「だからな〜〜、え〜〜とだな〜〜」
ぶはっ!!もーだめ!耐えらんない!チケット余っちゃったから一緒にいこうって言ってくれたら、一日ぐらい予定あけんのに!つーか俺、明日やすみだし!
ニヤニヤしそうになる口元を、パーカーの袖で隠しながら大輝の手首に絡まっていくビニール袋に目をやる。おーおー…中の牛丼もすげーことになってそーだなー。
「大輝、そろそろ、それ、血が止まるぞ」
「え?あ、いてて」
…だめだ!やっぱりなんか、すげー面白い!
「ふははっ!ったくよー!解りやすいよなー大輝ってさー!!」
耐えきれなくて噴き出してしまった。ほんと、さっさと言えばいいのに!
「え?」
「仕方ねーから一緒に行ってやるよー、遊園地!!」
「え!?」
そんでなんで驚いてんだよー!お前がなかなか言い出さないから、俺から言ってやったんだぞー?これでお前なんか求めてねー!とか言われたら顔面パンチもんだけどな!
「断られたんだろ!女の子から!バレバレだから!!」
「え!?違うって!女の子から断られた平井くんからもらったんだって!!」
なんか反論してくるけど、わかったわかった。俺はオトナだから、そーいうことにしといてやるよ!
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