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「「...............うっす!!? 」」
来る放課後練習。不安を抱えつつも、練習場所である体育館ステージ上で、巫女都と正太郎は声を揃えて驚いた。
生徒会役員から渡された唇のカバーがサランラップだったからだ。しかも唇サイズに切り取られている。
これを見た正太郎は怒り狂い噛み付いた。
「 ざっけんな!!んなの、有っても無くても一緒じゃねぇかっ!!」
「俺は無くても構わんが。」
「でしょうね。あんたはそうでしょうねっ。だが俺は違ーうっ!!!」
憤怒する俺にお構い無しに谷本のクソ野郎がそう言い、俺はそれに反撃したらハァハァする。何普通に言ってんだ。ムッツリが。
「.....僕も、...これはちょっと、」
興奮してきゃんきゃん言ってたら、俺を窘めたものの、巫女も赤面で恥ずかしそうに俺の意見に賛同してくれたが、巫女の顔をみた周りのヤロー共がどよめいてやがるから気は抜けない。そんな中、生徒会長の荻島先輩がアホな事を言い出した。
「去年も言っただろう。これはリアリティの追究だ。しかもディープにしろとは言っていない。桐谷、唇も皮膚だ。しかもサランラップ越しに触れるだけだ、諦めろ。」
「えー、正ちゃーん!」
「だあッ!!他に選択肢はねぇのかよ!!あ、メンバーチェンジ!コイツなんか、巫女より可愛くて良いんじゃないか?」
俺は苦肉の策で側に居た獅童を掴み荻島先輩の前に出す。もうコイツで進めりゃサランラップでもなんでも構わんと、可愛いだとか、白雪姫にしか見えないだとか獅童を褒めちぎってやる。
獅童は正太郎から言われる言葉に赤面しながら、掴まれている腕を凝視しているが、正太郎は必死すぎて気づいていない。
........正ちゃんのバカ。
面白く無かった。何も無かったにせよ、獅童くんが自分に好意がある事を分かっているはずなのに、正ちゃんはその獅童くんをガンガン褒め、尚且つ僕より獅童くんの方が可愛いと言ってて、沸々と嫉妬心が湧いてきて、僕はまたムキになる。
「分かりました。やります」
「 はあ!? なに言ってんだ巫女っ!?正気か!?」
「 正気ですー!!正ちゃんなんか知らないんだから!もう迷惑になるから始めるよっ!!」
フンッとそっぽを向いて僕は衣装に着替える為に更衣室に向かった。正ちゃんのバカ。
.......巫女、なんで怒ってんだ...?
残された俺は、巫女っさんご立腹の理由に全く心当たりがなかった。巫女のためにめちゃくちゃ頑張ってたのになんでだ?って思ってたら、荻島先輩にポンと肩を叩かれた。
「 墓穴を掘ってくれて助かった。去年、桐谷を見た時から来年は白雪姫をやろうと心に決めていたんだ。だから桐谷の為の劇と言っても過言では無い。従って、白雪姫役は桐谷以外は有り得ないと言う事だ。分かったら佐倉も衣装に着替えろ。」
.......墓穴を掘った?なんのこっちゃ。
もうなんか色々意味不明だと唖然としてたら、今度は谷本が俺に向かって言ってきた。
「....桐谷も嫉妬とかするんだな。普段、ポワンとしてるから、そんな風には見えないけど。でも、怒った顔も可愛いな。絶好のチャンスを貰えた事、感謝するよ。」
何いってんだコイツ。巫女が嫉妬....?ハッ!?
獅童か!?...しまったすっかり忘れてた。まさか巫女...、...これ、組み手じゃねぇじゃん!!
獅童との事を疑われた時、次は疑惑の時点で襲われる覚悟で、谷本に組み手の稽古をつけてもらうと言っていた巫女の言葉を思い出した俺は、この上無く慌てた。
「 てめぇに巫女落とすチャンスなんか一生来ねぇよ!!ド阿呆が!!」
捨てゼリフを吐き捨てて俺は更衣室に向かった。
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