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方向音痴
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都心から少し離れた街のとあるボロアパート。
二人暮らしで間取りは1K。狭い。
家賃は月4万円。安い。
電車で二駅行けば、あの馬鹿が通う学校がある。
そしてアパートから出て東に500m歩いた所にコンビニがある。
俺は今そのコンビニ目指してかれこれ5時間は歩いた。
「チッ、コンビニらぁどこにも無いじゃか」
未だ、コンビニに着く気配は無い。
さっきから腹がグゥグゥ鳴って力も出ん。
これも全部あの馬鹿のせいじゃ。
いっつも遅刻ギリギリの時間に起きゆうくせに、今日に限って「始業式や‼︎学校や‼︎」なんぞと騒ぎ起きよってからに。
俺が昨日の晩作った“俺用”の朝飯をあいつはすっかり食べて行きよった。
「あ"あ"‼︎もう‼︎腹減ったちや‼︎」
おかげで俺は朝からコンビニ目指して長い旅をせんといかん始末や。
ごっつ腹立つ。胃の中何も入っちゃぁせん。
空腹でいつにも増してイライラする。
あの馬鹿にもイライラするけんど、何よりたった500m離れたコンビニにさえ辿り着けん自分にイライラする。
龍には方向音痴や言われよったけんど、まさかここまで酷いモンやとは自分でも思うてなかった。
イライライライラしながら、通った事ある様な道を何度も行ったり来たりしゆう時やった。
【ピリリリッピリリリッ】
ズボンのポケットん中の携帯が鳴った。
ピリリリッ、とか今時ガラケーでしか鳴らん様な音じゃ。
そうや。俺はガラケーじゃ。
「このくそ忙しい時に誰ぞ」
俺は今コンビニ行く為に精神、体力共に削られゆうと言うのに、誰が連絡して来たんやと思って携帯を開いた。
「!」
携帯にはメールが1件。
内容を見た瞬間、俺は足を止めた。
「……嘘やろ…」
下へ下へと読み進めて行くと、額から嫌な汗が流れよる。
コンビニなんてもう行かんでもえい。腹が減っちょってももうどうでもえい。
パチンと携帯を閉じて来た道を一目散に走って戻った。
「っ……期限はあいつが卒業するまでなはずやっ」
今日は始業式や。あと1年。
あと1年で全部が終わるはずやったのに
「あの馬鹿っ、まさか学校の奴等に知られたがやないやろうな⁉︎」
とにかく、龍を早う呼び戻さんといかん。
コンビニ目指して5時間歩いた。
もちろん緊急事態やきって5時間歩いた道を簡単に戻れるなんて思っちゃぁせん。
タクシーは使わん。金の無駄や。
俺が龍を学校に迎えに行くなんて無理に等しい。
3日は掛かる。もう自分がとんでもない方向音痴な事は認める。
やきあいつが帰って来るのをしまかに待たんといかん。
急げ急げと自分を焦らせながら、結局家に着いたのはメールを見て3時間経った後やった。
家に着くと同時に龍も家に帰って来て、
大事な話しをする前に朝飯の件であいつの腹を一発殴った。
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