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唐突に
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朝の勉強会。短い時間だったのにめちゃくちゃ疲れた。
巨人は俺が生徒会室に来て、その後15分後くらいに中へ入って来た。
最初は俺が居た事に少し驚いてたみたいだけど、すぐに「うぉ〜!姫やん!」と言って抱き付いて来ようとしたから軽く腹にグーパンチをお見舞いしてやった。
勉強教えてる時も膝に手を這わせて来たり、無駄に顔近付けて来たり、会長が見てない時にセクハラをかましてきた。
だからだ。だからあいつは俺が教えたところを全然理解出来てなかったんだ。
俺の教え方が悪いんじゃない。原因は全部あいつのセクハラのせいなんだ。
くそ……あんな奴と毎日会長は二人きりになってたのか…っ‼︎まさかあいつ、会長にもあんなオヤジがやる様なセクハラをしてたんじゃねえだろうな?
「許せん‼︎」
「…?」
缶コーヒーをぐしゃりと握りつぶしてしまった。
ふつふつと怒りが込み上げる中、俺の隣には眼鏡が座っている。
お昼休み、今こいつと一緒にいる場所は、校舎の外にあるベンチ。春風が吹いて、日差しが当たってとても気持ちのいい場所だ。
「で。なんでそんなに怒ってんの?」
眼鏡は俺から握りつぶした缶コーヒーを奪い取って、向かい側にあるゴミ箱へと投げ捨てた。
「別に怒ってねえ。」
ふん、と顔を背けてそう言うと、眼鏡は「へぇ〜。じゃあなんでこんなとこに呼び出したんだ?」と言った。
そう。今回呼び出したのは俺だ。いやいつも昼は大体一緒に食べてんだけど、校舎の外で食べるのは今日が初めてだった。しかも、俺が「ここで食べたい」ってこいつを呼び出した。
なんで呼び出したのか。それはもちろん勉強会に参加し始めたって事をこいつに言う為だ。
別に言わなくてもいいんじゃね?とか思ったけど、内緒にしてて後々面倒な事になるのは嫌だしな。
「俺も会長とあの馬鹿巨人に勉強教える事になった。」
「へぇ。」
唐突にそう言うと、眼鏡はやけにさらりとした返事をして来た。
眼鏡を見ると、ベンチの背もたれに腕を乗せ、ストローに口付けてチューーーっと吸いながらオレンジジュースを飲んでた。
「樹に任せとけばいいだろ。」って言ってくると思ってたけど、別に眼鏡は気の抜けた返事以外何も言わなかった。
「でさ、しばらくは放課後一緒に帰んなくていいから。お前先帰ってろ。」
「……へぇ。」
「へぇ……って、お前ちゃんと聞いてんのかよ?」
また気の抜けた返事をされて、少しイラついてしまった俺は眼鏡が飲んでたオレンジジュースを取り上げて視線をこちらへと振り向かせた。
睨むと、眼鏡は目を細めて俺を見た後、足を組み直して空を見上げた。
「しばらくって、いつまで?」
「は?」
眼鏡が呟いた言葉を聞くと少し考え込んでしまった。
そういや、いつまでとか…期間の話は聞いてねえな。……けど、勉強会ってテスト対策の為にしてんだよな?なら、一番近いテストは、前期テスト…だよな?
つっても、前期テストまで2ヶ月以上あるけど……
「ぜ、前期テストが終わるまで…とか…?」
曖昧な感じでそう言ってみると、眼鏡は少し黙った後「了解。」と言ってベンチから腰を上げた。
立ち上がると、俺の前に立って急に頭をわしゃわしゃと撫でてきた。
「やめろよ‼︎」と言って手を振り払うと、眼鏡は笑った。
「ま、頑張って教えてやれよ。…センセ。」
「なっ‼︎」
最後にエロボイスを落とされ、顔がボン、と熱くなった。そして眼鏡はもう教室に戻ると言って俺の前から去って行った。
エロボイスで、なにが「センセ。」だ……
あいつもセクハラだ…っ…‼︎
「……っ」
撫でられた頭に触れてみると心臓がドキドキしてくる。
相変わらずあいつが触ったところは、熱を持って変にドキドキしてしまう。
けど、なんか眼鏡にしては妙に優し過ぎやしないか?
俺が会長と一緒に…ってなったら、「なら俺も参加する。」って言って来ると思ったのに。
いやいや…というか……最近のあいつは
怖いくらい優しい。
「……こわ…」
何故か背筋がぶるりと震えた。
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