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【後日談】一夜の夢、一生の誓い …36
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ピンクの池を抜けたところで、軽食を売っているワゴンを見つけた。
ふわりと甘い香りに釣られて、お腹がグゥと音を立てた。
緊張のせいで朝から何も食べれずにいたんだけど、ここまで無事にきて安心したんだろう。
空腹を、思い出した。
「まっ、雅治さん」
「ん?」
「なんか食べたい、な。お腹すいちゃって…」
「あぁ、そう言えば夕飯のこと決めるの忘れてた…」
そう言って、雅治さんは腕時計を見た。
そう言えば珍しいな。
いつもなら、雅治さんが気を使って「夕飯どうする?」とか声かけてくれるのに。
まさか、雅治さんも緊張して、ご飯どころじゃなかったとか?
…なーんて。
いやでも、俺のこの姿のせいで、テンパってるのかも?
うーーん。
でも、すっごい余裕な顔して、俺の手、握ってるしなぁ。
俺はこんなに落ち着かないというのに…
あー、手汗かいてないかな?
「どうする?何か食べる?どこかレストランでも…」
「あ、いや…レストランとか、その…明るいところは…」
明るくて、誰かにジッと見られる可能性のあるところは、出来るなら避けたい。
「あぁ。そういうの気にしなくても……ん。ま、いいか。じゃ、どうする?あそこのワゴンで何か買う?」
「うん!」
それから、ワゴンでホットドックとコーヒーを買って、近くのベンチに腰掛けた。
二人で景色を眺めながら食べていると、隣のベンチに座っているカップルが、ふと目に入った。
彼氏の方が、彼女に「あーん」って、フランクフルトらしきものを食べさせている。
「……」
いいな。
…いや、バカップルぽいのは十分に分かってる。
けど、今日はとことんイチャイチャしたいのだ。
それにあれは、今日を逃すともう一生人前では出来なさそうだし。
そんな事を思いながら、チラチラとそのカップルを盗み見していたら、雅治さんが「何見てんの?」と、ちょっと機嫌悪そうに言った。
「えっ?あ、いや…」
「陸はあんなヒョロいのがタイプだっけ?…あ、いや、女の方か」
「へ?」
あっ!
もしかして、どっちかを意識して見てたと思われた?
「ち、ちがうよー!そうじゃなくて!その…ラブラブだなーって。あはは」
俺がそう言うと、雅治さんも二人を観察して「あぁ」と呟いた。
それから俺の頭をポンポンと撫でてから、立ち上がって先ほどのワゴンに向かった。
えっ?
もしかして…俺の考えてたこと、通じた?
まさか、まさか。
ドキドキしながら雅治さんを待つ。
しばらくして戻って来た雅治さんの手には、紙に包まれたものがあった。
わー!!
「これ、やりたかったんでしょ?…はい。あーん」
雅治さんの悪そうな顔とともに紙の包みから取り出されたのは…アメリカンドッグ。
えっ?
ソーセージとかじゃないのっ?
だって、アメリカンドッグ食べにくいよね?
でも雅治さんが、キラキラの顔でアメリカンドッグを差し出すので…
そりゃ食べるしかないでしょって事で、あーんと口を開けた。
バカップル、極めてやるっ!
アメリカンドッグを頬張る…ってゆーか、太くて…食べにくいっ。
口をいっぱいに開けてどうにかアメリカンドッグを咥えた時、雅治さんが、少しだけそれを奥に押し込んだ。
「!!ん、ん…っ」
ちょっ!!
何てことすんの!!
アメリカンドッグを咥えたまま、涙目で雅治さんを睨む。
すると、なぜか雅治さんが恥ずかしそうに微笑んだ。
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