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同期の策略
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4月。
小栗さんが東京に引っ越して来た。
何度か一緒に夕飯を食べたけど、休日は生活準備とかこちらでの手続き諸々で、とても忙しそうだった。
なので、未だゆっくり会えていない…
そうそう。
小栗さんは車もこっちに持って来てて、一度乗せてもらったけど、日産のエクストレイルで、とても乗り心地が良かった。
仕事が忙しくて、車くらいしかお金の使い道がないって言ってた。
エクストレイルは買って数ヶ月らしく、助手席は俺が初めてらしい…
ひゃー…
今の状況が落ち着くまで、九州へちょくちょく出張もあるようだ。
そんなある金曜日、同期の松尾から「相談がある」とかで飲みに誘われた。
俺はちょっと残業があったので、仕事を片付けてから待ち合わせの居酒屋に向かった。
指定された居酒屋は、なぜか会社の近くではなく、ちょっと離れた駅にあった。
店に入って「先に連れが来てるから」と席に通してもらったら…
「佐藤っ!お疲れ〜」
「お疲れ様です〜」
松尾と…なぜか、アキちゃんがいた。
「お疲れ〜。あれ?アキちゃんどうしたの?」
「俺が誘ったんだよ。華がないと淋しいかと思って。ま、とりあえず飲もう!すみませーーん!ビール1つ!!」
松尾、何考えてんの?…相談があるんじゃなかったの?
「突然参加しちゃって、すみません」
アキちゃんが申し訳なさそうに言った。
「いや、全然いいよ〜?人数多い方が楽しいし」
そう言うと、アキちゃんは嬉しそうに笑った。
彼女は、目がぱっちりしてて、ふんわりした見た目の可愛らしい女の子だ。
笑顔が多く、職場では特に年配に人気で、可愛がられている。
こんな風に可愛らしく笑われたら…何も言えないよなぁ…
それから1時間くらい松尾の愚痴を聞かされたところで、松尾が突然スマホを取り出して
「あ、やべ!俺、今日中に買いたい物があったんだよ!店が閉まる前に行かなきゃ!あっ、二人は飲んでて!お金…これで足りなかったら、今度請求して〜」
と、俺が呆気に取られている間にお金を置いて席を立って帰ってしまった…
何だったんだ?
「松尾、なんだあいつ…」
「さあ…」
と、アキちゃんがクスクス笑った。
それから、テーブルに残っていたものを二人で食べてからお店を出た。
お店を出て、駅に向かって歩き始めてすぐのこと。
「実は、今日の飲み会、私が松尾さんにお願いしたんです」
アキちゃんは少し歩調を抑えてそういった。
「え?」
「最近の佐藤さん、何か雰囲気変わって…。毎日楽しそうにしてて…何かいいことあったのかなって、気になって…」
「うーん。そうかなー?」
「彼女が…出来た、とかではないんですか?」
「んー?それはないよ?」
「じゃ、好きな人が出来たんですか?」
「そんな事はないけどー…」
あれ?
やっぱり、アキちゃんって俺の事…
だとすると、どうしたら良いんだろう。
とりあえず気付かないフリしよう…
…少しの沈黙。
沈黙に絶えられず、俺が先に口を開いた。
「俺、最近、そんなに雰囲気変わった?」
「いえ…そうじゃないですけど…私が、佐藤さんのこと、よく見てるから、分かるんだと思います。それで私、焦ってしまって…」
アキちゃんが、足を止めた。
「彼女いないなら、私じゃ、ダメですか?」
「え?」
アキちゃんが、俺の腕にそっと手を絡めた。
「私、佐藤さんの事……」
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