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女の戦い? …1
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「とりあえず、松子のことは注意して見るようにするわ。…佐藤さんは気にしないことね。松子が何をしようと。小栗くんは、松子のことそう言う対象としてこれっぽっちも見てないでしょ?」
その言葉に頷いた時、店の入り口の方の雰囲気が変わった。
何だろうと振り向くと…雅治さんが店内を見渡しながらこちらに向かってくるところだった。
うわ…すごい。
女性の店員さんと女性客の反応が、まるで芸能人を見てるかのようだ。
コートにスーツって、ただのサラリーマンの格好なのに…
「小栗くん!」
河野さんが片手を上げる。
俺たちを見つけた雅治さんが、ニコッと微笑んだ。
すると、一部の女性客の目線がこっちに来た。
うわ…
普段なら肩身が狭い気がするのに、そうならないのは、河野さんの「見てんじゃないわよ」っていう感じの無言の圧力のせいだろうか…
河野さん、色々すげー…
「お疲れ、待たせたな…って、何?もう呑んでんのか?」
「お疲れ様。良いじゃない!小栗くんもビールでいいわよね?…スミマセーン!生ビール、ひと…3つ!」
雅治さんが、迷わず俺の隣に座った。
こういうのって些細な事だけど…嬉しいよね。
「二人で、何の話をしてたの?」
雅治さんが脱いだコートを椅子の背に掛けながら俺に言った。
「えっと…松子の話です」
「マツコ?」
「ふふっ!そう、松子よ。…ねー?」
「ねー」
「?…ふーん」
雅治さんの何とも言えない表情に、河野さんと目配せしながら笑った。
「佐藤さん、ほら!次のビールが来る前に、飲み干して!」
「はいっ」
二人でジョッキを傾けるのを、雅治さんが楽しそうに見る。
「それにしても…いつの間にそんなに仲良くなったんだか」
「あら?ヤキモチ?」
「…そうじゃない」
「いや、今の間は何よ?」
河野さんが楽しそうに笑う。
「え?ヤキモチじゃないんですか?」
俺も河野さんに加勢してみた。
「っっ。陸まで……はぁ…」
雅治さんは困ったような顔をしたけど、笑い返してくれた。
すぐに来たビールで、改めて乾杯をする。
皆がジョッキを置いたタイミングで、河野さんが口を開いた。
「念のため聞くけど…小栗くん、松子とは何にもないのよね?」
「マツコと…何?」
「あ、松井さんの話です」
俺が入れたフォローに、雅治さんが目をしばたかせた。
「……。何もあるわけないだろ?ったく」
雅治さんが機嫌悪そうにビールをあおる。
「それにしても、渡辺課長、小栗くんに女の子付けなくても良いのにね?…そういうの疎いのかしら?…私から渡辺課長に何か進言しとこうか?」
河野さんの言葉に、雅治さんは首を振った。
「いいよ。俺から言おうと思ってる」
「あの子もさ、立場上小栗くんが強く拒めないのを知って、色々と仕掛けてくる訳でしょう?…二人の関係が悪くなれば、評価が下がるのは主にトレーナーの方だし?…あー。考えれば考えるほど、小癪だわ」
「河野が気にすることないだろ?」
「同じ女として、許せないのよ。って言うか、どうしてもっと早く上司に相談しないの?」
「直接、松井さんから何か言われた訳じゃないから。っていうか、河野がなんでそんなに色々知ってんの?」
「まあ良いじゃない。…って、あれ?告白とかされてないの?」
「されてない」
「はぁ?…松子、何がしたいんだか。…って言うか、それも作戦かもしれないわね。告白したら、トレーナー関係も危うくなるだろうし?」
河野さんがまた、難しそうな顔をした。
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