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俺達は何を食べるかなんて他愛もない話をしながら目的の店に向かい、ゲームソフトを買って、立花がパスタが食べたいと言ったから家からそう遠くないパスタ屋さんに行くことにした。
晩ご飯には少し早い時間帯だったのにお店は満席で、待合スペースには二組のお客さんが席が空くのを待っている。
「少し待ち時間ありそうだけど待つ?」
『待ってもいいよ』
「じゃぁ座ってよう」そう言って待合スペースの空いた椅子に座ってると隣に座ってスマホを眺めてた女性が少し顔を上げた
「あれ?沢田さんだよね?私服でわかんなかった」
沢田さん、そう呼んだ女性はいつものコンビニ店員だ。
店員「草野君!スマホ見てて全然気付かなかった」
友達と来ていたらしく沢田さんの横にいた女性も頭を下げ挨拶をしてくれた。
店員「友達とパスタ食べに来たの?ここ美味しいよね」
「コイツがパスタ食べたいって言うから来たんですよ」
店員「仲良しなのね」
俺は立花に背中を向けていたせいか、立花がどんな顔をしていたのかも知らないで、コンビニ店員の沢田さんと話を続けた。
店員「夕方になって更に寒くなったよね」
「そっすね」
店員「手袋しなよぉ、手が赤くなってるよ?朝あげたカイロはもう冷たくなっちゃった?」
「あ、カイロはコイツにやっちゃった」
笑って話した。
悪気なんて無かったし、こんな事でまた喧嘩になるなんて思っても無かったんだ、大した事じゃ無い…ただ知り合いに会って世間話をしただけ、そんな風に考えてた。
沢田さん達が空いた席に案内されて行くのを「じゃぁ、また」そう言って手を振る、いなくなってから俺は立花の方を向くと、立花は眉間に皺を寄せていた
『俺…ちょっと用事思い出したから帰るわ』
「は?パスタ食うんじゃなかったのかよ」
『…用事あるから帰る』
急に帰ると言い出して店から出ていく立花を追いかけて俺も店を出る。
「待てって」そう言っても立花は止まらず「帰る」の一点張りで…
苛ついた俺は
「何だよ、また機嫌悪くなったのかよ。昨日から何なんだお前」
怒ってる理由も考えずに悪態をついた。
どうせまた怒ってねぇって言うんだろう、そう思ってたのに…
振り返った立花は目に涙をいっぱいに溜めて、今にも溢れそうな涙を堪える様な表情で、ポケットから取り出した物を俺に投げつけた。
『ボケが』
そう捨て台詞を吐いて立花は再び前を向いて歩き出す、俺は投げつけられた物を拾い上げると、それは朝、俺が立花にあげたカイロだった。
「ボケって何だよ」
それから何度も立花に送ったメッセージに既読がつく事もなく、ただただ時間だけが過ぎていく、一緒にやろうと思って買ったゲームソフトも袋に入ったままになった。
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