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3日目 7にしおりをはさみました!
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3日目 7
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廊下を歩く。
窓から桜が少し見えた。
(あ、愁先輩にはこの桜も白黒なんだよね)
一緒に見たいけど、さっきみたいに後ろから触るのも歩きづらい。
(…歩きやすくて、触る方法)
思い浮かんだのは、手を繋ぐこと。
『桜は今が見頃なので一緒に見たいです!愁先輩、手を繋いでもいいですか?』
(…よし!)
深呼吸をしてから愁に声をかけた。
「あの…愁先輩、手を繋いでもいいですか?」
(あ、あれ?桜の事を言ってない‼)
「えっと…」
改めて言い直そうとしたが、愁の方が先に答えた。
「うん、いいよ」
愁は抵抗もなく、さっと咲の手を握った。
「〜っ‼」
(わっ、わ~‼)
天と手を繋ぐ事はあるが、こんなに動揺してしまうことなんてない。
愁の躊躇いのなさにも、びっくりする。
「あのっ、颯人先輩と手を繋ぐ事はあるんですか?」
自分と天みたいな関係ならありえる。
しかし、愁はすごくびっくりしていた。
苦笑しながら言う。
「…颯人とは無いよ。咲も茉莉先生みたいに俺と颯人が、何かあると思っているの?」
「い、いえ。そうじゃないのですが…」
ほっとした。
(どうしたんだろう…)
安堵の表情をしてしまった。
「天ちゃん、えっと高城君とは幼馴染みなんです。いつも一緒にいてくれて家族みたいに接してくれて、僕がトロいから何でも助けてくれて。手も繋ぐ事があるので、それで…」
「高城君とは、幼馴染みだったんだね。良かった」
(あ、どうしょう!なんか、都合の良いように聞こえるっ)
『良かった』が何に対してなのか、愁に聞けない。
また、ドキドキと胸が痛い。
(話を変えないと、心臓がもたない‼)
「桜、見えますか?」
歩きながら聞く。
「うん、綺麗に見えるよ。こんなに満開だったんだね、見せてくれてありがとう」
愁が笑顔でお礼を言う。
そう言われると、嬉しくて嬉しくて仕方ない。
桜並木が見えなくなっても部屋に帰るまで、ずっと手を繋いだままだった。
どっちかが離すことも言わずに、それが当たり前のように繋いでいた。
『笑顔が見たい』
『喜んでもらいたい』
『側にいたい』
…そして、
『好きになって欲しい』
(あ…僕は、愁先輩の事…)
胸の痛みが、わかった。
咲は愁が好きだと今、気づいた。
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