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93にしおりをはさみました!
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93
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『もしもし?』
思いの外数コールで出た声は、酷く艶っぽいもので、俺の不安はさらに増した。
『なんで電話してくるの......』
「......ごめん」
『彰吾のバカ......』
甘い声が耳にダイレクトに響く。
「東雲さんから電話あって」
『父さん......?あの人、なんか変なこと言った?大丈夫、セックスなら断ったから』
「違う......その、襲われかけたって......」
『......あぁ、別に大したことないよ、そんなの』
「でも」
『父さんが大げさに言っただけ。会場の出口で待ち伏せされて、路地にちょっと連れ込まれただけ。父さんがすぐに気づいたみたいで、だから今回は何にもないよ』
「今回はって......」
『最後までされたことだってあるよ。複数に回されたこともあるけど......まぁ、あの手の奴らは大人しく犯されてれば、別に殺されることはないし。あ、大丈夫、幸い今のところ病気はもらってないから』
「そういうこと言ってるんじゃない!」
聞いてて、吐き気がしそうだった。発展場とかで一夜限りのセックスをしていたのは知っていたけど、まさか強姦されたことがあったなんて知らなかったし、何よりその事をなんでもない風に話すことが信じられなかった。
『......こんな汚い身体じゃ、嫌いになった?』
そして、強姦されたことを話す時よりもはるかに悲しそうな声で、そう言った。
「そんなわけないだろ」
『彰吾、嫌わないで、お願い......』
「嫌わない、嫌いになんかならない。今すぐ抱いて、そいつらの記憶なんか掻き消してやりたいよ......」
『彰吾......あぁ、どうしよ......彰吾の声聞くだけで、俺......』
ハァ、と熱い溜め息が聞こえる。
『彰吾のバカ......一人じゃイけないのに......んンッ』
「雅......」
『彰吾の飲みたい......彰吾に会いたい......彰吾ぉ、寂しい......』
熱っぽい吐息と、啜り泣く声がする。こんなにも切ない雅の声を聞いたのは初めてで、胸を締め付けられる思いがした。
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