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「…だりィな」
「今日は特に」
「昨日も一昨日もそれ言ってたくね?」
サボりの定番といえば屋上。
俺たちも例に漏れず青空を眺めながら惰眠を貪る。
サボってるからって別に不良じゃない。
周りからは不良だとか言われてるらしいけど違う。
俺達はただ不真面目なだけだ。
「そういや6時間目って英語じゃねぇ?」
ツンツン立てた髪を気にしながら寝る、鳥飼 拓海。
言っておくが寝転んだ時点で後ろは崩れてるはずだ。
「あー…かもな」
タバコを吸いながら面倒臭そうに答えるのは、牛島 歩。
それもう何本目だよ…と思いつつ見て見ぬふり。
「どうでもいい」
そして俺が 兎丸 慧。
俺たちは中学の時からの腐れ縁でいつも一緒だった。
趣味が合うわけでも家が特別近いわけでもない。
たまたま同じ場所で、たまたま同じ時間に、たまたまサボっていただけ。
それが何度も重なり今に至る。
「英語って…あれじゃん、うちの担任。確か……」
「獅子原な」
拓海の言葉に歩が答える。
それがどうした。
俺はソイツを嫌いでもなけりゃ好きでもない。
っつーか顔すら思い出せない。
「探しに来たらどうする?」
「こんな真冬に屋上なんて来ねぇよ。1月だぞ、今」
寒空の下ポツポツと交わされる会話。
このクソ寒い中コートを着込んで寝てるなんてバカだと思うだろう。
「もしもの話だっつーの!」
「どうもしねぇ。慧は?」
「……どうでもいい」
顔すら思い出せない担任なんて興味もクソもねぇ。
それより眠たい。
―あの頃の俺は、そう思っていた。
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