アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
195
-
「バカ慧!それまた間違ってる」
歩に指摘された場所を見る。
何が間違ってるかわからない俺の頭を叩いた歩が皿に手を伸ばした。
「ここはパセリじゃなくてレモン」
「あ、そっか」
「短期でもちゃんと覚えとけよ」
リカちゃんに啖呵を切った俺は、歩のバイト先で短期だけ働かせてもらうことになった。
小洒落たダイニングバーでのホールの仕事。
言われたテーブルに料理を運んだり軽い補助をするだけだが、なかなか難しい。
「それは俺が運ぶよ。兎丸君は休憩どうぞ」
「犬塚さんマジ慧に甘すぎ」
「なんだよそれ。牛島も一緒に休憩入って」
俺の持っていたトレイを奪った犬塚さんは颯爽とホールへ消える。
「犬塚さん優しいよなー」
「お前には特にな」
近所の大学に通う犬塚さんは、俺たちの3つ年上。
長年空手をしていたらしく男っぽいイケメンだ。
この店には犬塚さんを目当てに通う女の人もいるらしい。
優しくて爽やかな犬塚さんは、誰かさんとは大違いだ。
リカちゃんに内緒で始めたバイト。
バレたらきっと怒られるだろうから絶対に言わない。
もちろん歩にも絶対言うなって念を押してある。
誕生日プレゼントにバイト代は間に合わないけど…まぁ、前借りって事でいいとしよう。
ただ意地を張ってしてるだけ、と言われればそれまでだが何と言われようと俺はプレゼントを買う事に決めた。
「慧さぁ…そんな頑固になってると可愛くねぇぞ?」
「お前に何て思われようがどうでもいい」
「兄貴も俺と同じこと考えてると思うけどなー」
休憩室でコーラを飲んでいた俺の手が止まる。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
195 / 1234