アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
206
-
「さっきの人って兎丸君の何?」
バイトを終え、更衣室で着替えていると犬塚さんが入ってきた。
クローズまでバイトの犬塚さんはまだエプロン姿だ。
「さっきの?」
「さっき絡まれた時に助けてくれた人。背の高い黒髪の人の方だよ」
「あぁ…あの人は、」
あの人は何て言う?恋人?って男同士で何言ってんだってなるよな。じゃあ先生?普通の先生じゃないって思われない?
…それなら。
「お隣さんです」
それが俺の出した答えだった。
「お隣さん…にしては仲いいね」
「あー…たまに飯食ったりするんで」
それどころか一緒に寝てるし。っつーか恋人だし。
それよりさっきのリカちゃん格好良かったよな…なんか男のくせに守られてキュンとするって情けないけど。
いつも飄々としてるくせに、いざという時頼りになるって大事だと思う。
「本当にただのお隣さん?この店にいたのはたまたま?
それにしてはタイミング良すぎるよね」
「ちょっと俺にもわかんないですけど…」
なんだかしつこく聞いてくる犬塚さん。
どんなに聞かれても俺にもわからないんだから答えようがない。
犬塚ー!と呼ぶ声が聞こえ、犬塚さんはチッと舌打ちをつく。バイト中には見なかった少し荒い仕草に驚いた。
「今日のことは気にしないで。
明日からまた一緒に頑張ろうね」
作ったような爽やかな笑みと共に去っていった犬塚さんが何を聞きたいのかわからず、俺は不思議な思いで店を出た。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
206 / 1234