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そのつもりで言ったあたしの言葉は、どうやら彼に届かなかったらしい。
薄く浮かんでいた歩ちゃんの眉間の皺がどんどん深くなる。
「歩ちゃん?」
これはおそらくマズい状況。それがわかってあたしの頬は引き攣った。頭の中がフル回転するけれど言葉が出てこない。
「桃さんてさぁ……何かと俺とアイツ比べますよね。
それってなんで?俺を妬かせようとして?」
「そういうワケじゃなくて」
「それともアイツの方がいいの?」
「はぁ?!」
どうしてそうなるんだろうか?似てる似てないの話からなぜリカの方がいいって結論に至るのだろう?
歩ちゃんとお付き合いを初めて日は浅い…けれど、ここに辿り着くまでに色々あったのに。
重たすぎる過去の柵を断ち切ってやっと向き合えたのに。
それなのにリカの方がいいなんて、ありえるわけない。
なんて子供なの?!
たかが似てるって言っただけなのに!
言い返せないあたしを見て歩ちゃんが更に視線を鋭くする。2人の間の空気がピリピリして痛い。
「ほら。黙るってことはそうなんでしょ。だって桃さんは顔がいいヤツが好きですもんね。顔がよけりゃ変態でも性悪でもいいのかよ」
「ちょっと!黙ってれば何よその言い方!!」
「本当のことだろ。オカマのくせにミーハーなんだよ」
「オカマのくせにって何?!
誰だってイケメンの方が好きに決まってるじゃない!」
ちなみにこのイケメンの方が好きは『不細工よりイケメンの方が好き』って意味なのだけれど。
歩ちゃんは別の解釈をしてしまったらしい。
よりイケメンの『理佳』の方が好き……という風に。
「マジでありえねぇ」
チッと舌打ちをした歩ちゃんが立ち上がる。
「気分悪いから帰る」
「え?!ちょっと待って…!!」
あたしの制止を無視して歩ちゃんは去っていく。
その場に残されたのは飲みかけの水と呆然としているあたしだけ。
そして数日後…あたしの前に現れた歩ちゃんは目が眩むほどの鮮やかな金髪に変わっていた。
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