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ちゃんと面と向かって言われた言葉。
リカちゃん本人から聞くとこんなにも嬉しい。
「愛してるからこそわかってほしい」
「なんっで…なんで離れるって言うんだよ」
一度零れてしまえばもう止められない。
気持ちも言葉も、涙も全て我慢せずに俺はリカちゃんにぶつける。
「嫌なんだって!俺はっ、リカちゃんがいないのは嫌だ」
「いるから。いつだって俺はお前の傍にいる」
「でも離れるんだろ?!いなくなるんじゃねぇかよ!!」
「俺は離れない。俺はお前の傍にいる」
離れるって言ったり離れないって言ったり意味わかんねぇ。泣いてるから慰める為に言ってるのか、それとも泣いてるから気が変わったとか?
けどそんなんじゃない。
「離れるのはお前だけだ。お前が俺から離れるんだよ」
「…なに、それ」
「お前には俺から離れて自分のしたい事をしてほしい。それが何だって構わない」
何が違うのかわからない俺に、リカちゃんはしっかりと指を絡めたまま説明してくれる。
「俺からは離れない。ずっとお前が戻ってくるのを待ってるから。だから自分のことだけを考えてほしい」
「そんっ……なの…ずるい」
今までずっと黙って待ってたくせに。
俺が自分で気付くよう、待って待ち続けてずっと耐えてたくせに。
「いいんだ。それが俺の愛し方だから。俺はお前の為に生きてるって何度も言ってきたのを証明したい、信じてほしい」
俺の好きなようにさせて、好きなところへ行かせて、それでもリカちゃんは待ってる。俺が帰ってくるかわからないのに待ってるなんて誰が信じられる?
離れたくないって言ったのはリカちゃんで、俺に行っておいでって言うのもリカちゃんだ。
そして俺にはリカちゃん以外にも帰る場所が用意してある。それを用意してくれたのもリカちゃんだ。
最初から最後まで俺の好きにさせてくれようとする。
繋がった指をそのままにリカちゃんは続ける。
「慧はさ、傍にいたいって気持ちと傍にいなきゃってのがあるだろ?」
言い当てられて身体が跳ねる。それを知られてしまったら嫌がられるんじゃないかと不安なのも、意地になって言えなかったのもバレていた。
「そう思わせてしまったのは俺が不甲斐ないからだな。だからそれを挽回するチャンスをちょうだい」
「…言葉じゃなんとでも言える」
鼻をすすりながら返した俺にリカちゃんは苦笑した。
見えないものを証明しろなんてリカちゃんにだって出来るわけない。また疑ってしまった俺にリカちゃんは怒るでも悲しむでもなく笑った。
「ちゃんと態度で示すよ。今日から俺はお前に片想い」
「片思い…じゃねぇし」
「片思いだっての。だって俺はお前を愛してんだから」
「俺だって…っ、」
俺だって同じだって言おうとした唇が塞がれる。久しぶりのリカちゃんのキスは優しくて、穏やかで涙の味がした。俺の流してる涙の味がしたんだ。
「慧がそれを言うのは今じゃない」
反対の手も繋いでまた口付ける。触れるだけのキスを繰り返しリカちゃんは微笑んだ。
「絶対にどこにも行かない。俺はお前を1人になんかしない」
「嘘だ…そんなの嘘だ、やだ。1人は嫌だ」
「俺は嘘はつかない」
俺はリカちゃんを信じていいんだろうか。本当に待っててくれるんだろうか?
戸惑う俺の頭の中にみんなの顔が浮かぶ。
みんな大丈夫だって言ってた。リカちゃんは俺を見てて俺のことを考えてくれてるって言ってた。
「何があっても俺が守ってあげる。俺はお前を絶対に1人になんかしない」
「なんで笑えるんだよ…」
こんな時にまで笑って話せるリカちゃん。それがどうしてなのか聞く俺に答える。
「お前の為に何か出来ると思うとそれだけで幸せなんだ」
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