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『眠れない』それだけ打って絵文字もつけずに送信すると、その結果は見たくなくて枕の下にスマホを突っ込んだ。
5分、いや10分ぐらい待てば返事ぐらいはくれるだろうか…なんて思いながらも目を閉じる。
俺が身じろぐ音だけがする薄暗い部屋に、しばらくして僅かな光が差す。そして音を立てずに扉が開いた。
それがわかっているのに俺は寝たふりを続ける。
1人分のスペースをあけた左側に、その気配を感じても気づいていない演技をやめはしない。
「人のこと呼び出しておいて寝たふりはないよな、慧君」
身を屈めて耳元で囁くソイツを薄目を開けて睨みつけ言う。
「来るのが遅いんだよバカ」
見えない先でリカちゃんがふっと笑った気がして、俺はその襟元を引っ張った。勢いよく落ちてきたリカちゃんにしがみつき、逃げられないよう閉じ込める。
リカちゃんはされるがまま、逃げようともしない。
「仕事は?」
「んー…ちょっと煮詰まってるからやめた。それより中に入れて」
掴んでいた手を少し緩めると、身動きがとれるようになったリカちゃんが布団の中に入ってきた。
外からひんやりと冷たい空気と一緒に潜り込んできたリカちゃんが俺の身体を抱きしめる。
リカちゃんに触れた箇所は冷たいはずなのに心はあったかい…なんて思ってしまい、恥ずかしくて首を振る。
頭を擦りつける俺にリカちゃんが訊ねる。
「これで眠れそう?」
「別に。お前がいなくても眠れるし…あんなのただの嫌がらせだ」
「その割にすり寄ってくるのはなんでだろうな」
すっかり2人で寝ることに慣れて、お互いに寝やすい体勢を自然ととってしまう。
こういうのって、なんだかいいなって思った。本当は1人の方が楽なはずなのに、それでもやっぱりリカちゃんがいないと物足りない。
リカちゃんの左肩を枕代わりにしてリカちゃんの心臓の音を聞きながら寝るのが俺は好きだ。
目を開けて見上た先にはリカちゃんの首元がある。
綺麗に筋の通ったそれは、いつもシャツで隠されてる鎖骨へと繋がっている。
暖かい掛け布団の中から身を乗り出してそこに顔を寄せた。
近づけば近づくほど甘い匂いが強くなって、目眩がしそうだ。
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