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アルは会社員1年生 3
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帰宅して、2人で夕食を作って食べ、今はソファに並んで座り、アルはテレビを眺め、ミカは雑誌を読んでいる。
「ミカ」
「ん?」
ことんとアルがミカに寄りかかった。
「ミカが死ななくて良かった」
ミカは小さく笑うと雑誌を置いて、アルを抱き寄せた。
「そんなに心配したの」
「したよ。もちろん」
「そっか。ありがと」
アルのこめかみにミカがキスをする。
「でも、なんでジルに言ったの?」
「恋人だってこと?」
「うん」
アルは収まりの良いところを探すとミカの体に腕を回した。
「本当はね、ジルに相談したかったんだ。僕の死んじゃう説は、つまりアルが養子だからでしょ? だったらいっそ、僕は健康だって発表するついでにアルは僕の生涯のパートナーなんだって発表しちゃいたいなって…」
アルは驚いてミカの顔をまじまじと見た。
「でも、ジルに先に釘刺されちゃったからね」
苦笑するミカは困っているのではなく、別の感情、気持ちを抱えている。
アルはそう感じてミカの頬に手をあてた。
「ミカ、俺、隠さなきゃいけないんだって思って悲しくなって、でも仕方ないなって思って、そしたら俺達って悪いことしてるのかなって後ろめたい気分になって、それで…」
「そうだね、世間の目は暖かくないから。発表しちゃおうとした僕が甘かったのかもしれない。ジルの判断は賢明だよ。残念ながらね」
ミカはアルにキスをした。
「そんな悲しい顔しないで。今はまだ、ってだけだよ。いずれ時期を見て言うさ。それまで待って」
「うん」
「でもね、むやみに隠す必要もないかなとも思うんだ。何も自分から触れ回ることはないけど、何が何でも隠さなくてもいいって思う。また、ゆっくり話し合おう。これはすぐ答えが出るものでもないだろうから」
再びミカはアルにキスをした。
そのあたたかさにアルは、不安が溶けていくのを感じた。
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