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混交雑 6
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翌日は週末恒例の掃除をして、午後にまたサッカーをしに公園に行って、砂だらけになったロロを風呂に入れてから夕食となった。
早起きのロロは当然早寝で、夕食後、歯磨きが終わるとすぐに眠ってしまった。
「あっという間だったね」
並んでソファに座り、ミカはぐいっと伸びをした。
ジルはだいぶ回復したようだが、大事を取って月曜日は休んでもらうことにした。
「明日は早起きしなきゃ。ロロの支度で手間取るだろうし」
「ロロが目覚ましより早く起こしてくれるよ」
ミカがそう言って笑う。
「だね」
アルもロロの元気な朝の挨拶を思い出して苦笑した。
「なんかちょっと寂しいな」
翌朝は出勤前にジルの家によってロロを返さなくてはならない。
わずか2泊3日とはいえロロとの生活は楽しかった。
「子供欲しくなった?」
ミカがアルにキスをして「子作りする?」と続けた。
「子作りって…」
アルは笑ってそう答えたが、ミカはその唇を再び塞いだ。
「100回くらい中に出したら孕まないかな」
「んなわけ」
冗談めかしたセリフの割に真剣な目をしていたから、アルはそれ以上言えなくなってしまった。
「ミカは欲しいの?」
自分は女じゃないから子供は産めない。
ミカに子供を作ってあげられない。
ミカに家族を作ってあげられない。
女なら良かったのに。
やっぱりミカは普通に女性と結婚して家庭を築いた方がいいんじゃないだろうか。
「ミカ、俺―」
ミカがぎゅっとアルを抱きしめた。
「くだらないこと考えてるでしょ?」
ミカは何でもお見通しだ。
いつも見透かされる。
「だって」
「ごめん。不安にさせたのは僕だね」
そっとキスをしてミカはこつんと額を合わせた。
「アルと2人の生活は十分に楽しいよ。満足してる。これ以上何かを望むなんて過ぎた幸せになるよ」
抱え切れない幸せは不幸だ。
手に余る幸せがこぼれていくのを見れば失うことを恐れて臆病になる。
何も不満が無いのなら十分に幸せなのだ。
それ以上を望めば幸せを手放してしまう。
それは不幸だ。
「でも、方法はあるんでしょ?」
不安そうな瞳が揺れている。
ミカは鼓動を聞かせるかのようにアルの頭を胸に抱いた。
「養子とか体外受精とかって話?」
「うん」
「まぁ、手はあるけど、そこまでして欲しいとは思わないよ」
「ロロがいて楽しかった」
「そうだね」
「俺達に子供がいたら、こんなかなって思った」
「僕も思ったよ」
「悪くないなって、思った…」
「うん」
しばらくどちらも言葉を発さなかった。
アルはミカが将来、やっぱり子供が欲しいと思うことがあったとしたら、自分はどうしたらいいんだろうと逡巡していた。
ミカはアルとのこの生活で十分なんだとアルに分かってもらって不安にさせないためにはどうしたら良いのかと考えていた。
「ミカだけで十分なのに、俺、満足してないのかな? 本心は違うなんて、思いたくないんだけど」
「僕もアルだけで十分だけどロロがいて楽しかったよ? 僕がそう思うことはアルを不安にさせる?」
「ううん」
アルは顔を上げて返事をし、続けた。
「俺と同じだなって…」
「僕もアルが僕で十分で満足してくれてるのを、ロロがいて楽しかったからって疑ったりしないよ。実際、楽しかったもん。でしょ?」
「うん」
「アル、自分を疑わないで」
ミカは優しい口付けをひとつ落とした。
「もっとキスして」
返事の代わりに何度もキスをして、ミカはアルの不安がこれで拭えればいいのにと思った。
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