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愛してるって言いたかった。ハグしてキスをしたかった。 15
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アルは無駄とわかっていながら携帯電話を開いた。
相変わらず圏外。
バスの無線も返事は無いらしい。
勾配がきつくて上には行けない。
下へ行けば道路に出るだろうと言う人たちは運転手の『道に出るとは限らない。川や谷底に着く可能性もある』という言葉に落胆した。
辺りの枝を集めて焚き火がいくつかできていた。
暖を取るためと熊が出た時のためだった。
誰もが寒さに凍え、このまま助けは来ないのでないかという不安に震えていた。
アルは木立の隙間から見える夜空を仰いだ。
ミカも同じ星を見ているだろうか?
ミカは今何をしてるだろう?
また心配かけてしまったな…。
ミカと過ごした年月は幸せだった。
ミカは優しくて、あったかくて、俺を大事にしてくれて…。
俺もミカが大好きで、ミカも愛してると言ってくれる。
ミカの声が聞きたい。
もう一度、あの心地良い声で俺の名前を呼んで、愛してるって囁いて欲しい。
ミカ、会いたいよ…。
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