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愛してるって言いたかった。ハグしてキスをしたかった。 20
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ミカ達のいるホテルの広い会議室に担当者が来て生存が確認された乗客の名が読み上げられた。
その家族たちが喜びに泣きながらそこを出ていく。
呼ばれなかった家族たちは落胆し、ため息をつき、項垂れた。
何度かそれが繰り返され、徐々に人の減っていく室内で、ミカは自分を抱きしめるようにして恐怖に耐えていた。
半分ほどの人数になった時、ミカは半ば諦めかけ、アルの死を覚悟した。
いなくなった分だけ気温が下がっていくような気がしてミカは身を震わせた。
アルの友人たちの名が読み上げられ、アルの名が呼ばれないまま時間が過ぎ、次に担当者が来た時にはミカの他には数組の家族が残っているだけだった。
今までのペースからいくと、多分、もう、無理だろう。
あとは生存者ではなく、死亡か行方不明か…。
ミカは絶望した。
担当者が手にした紙を見ながら口を開いた。
「救助された方のお名前を読み上げます。リュリュ・ボワロー、リュカ・ドルリュー、アル・ウィリアムズ」
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