アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
すれ違い①
-
その日から、一ノ瀬くんの様子は変わった。
次の日の金曜日はすごく素っ気無くて、一ノ瀬くんが一度も話し掛けてくることは無かった。だから、俺からも話さなかったし、特別関わったりもしなかった。
でも、嫌われているという感じでは無くて、ただ俺を遠ざけているみたいで。
なんだか、突然突き放されたようで、少し胸が痛い。
どうして?なんて訳も聞けなかった。
俺、何か嫌なことしちゃったのかな。
原因が分からない。あの時言った言葉が悪かったのかもしれないし、それより前に原因があったのかも。
理由が分からないのが、いちばんどうしたらいいのか分からない。
もしかしたら、このまま一ノ瀬くんと縁が切れる?
まだ一ノ瀬くんのことは好きじゃないから、そんなことなんとも無いと思ってたのに、そう思うと辛い。
俺は一ノ瀬くんのことが好き?
それは違った。恋人として考えると、それは違う。だけど、一人の人間としては一ノ瀬くんが好き。
それが一ノ瀬くんは嫌だったのかな。
「嫌だ……」
浴槽に浸かっていると色々なことを考えてしまって、じわっと涙が滲む。
まだ1日しか経っていないし、俺の考え過ぎかもしれないけど、一ノ瀬くんと離れるのが嫌だ。そう思ってしまう。
ずっとこんな関係が続くのは苦しい。
「……っ」
水面に涙が零れた。
おかしい。なんでこんな気持ちになるんだろう。
初めてだった。人に対してこんなに依存した気持ちになるのは。
依存って、好きだってこと?
分からない。
何も分からないよ、一ノ瀬くん。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
36 / 331