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③
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それから1週間、特に目立ったイベントも無く、日々は過ぎて行った。
部長からの飲み会をやんわりと断り、俺はすぐさま自分の家へ帰る。
先週は休みが無いことと同じで疲れたから、この土日はしっかり休養を取ろうと思う。
「あー……」
俺は家に帰ると、カバンやらネクタイやらジャケットやらをベッドに放り投げ、キッチンへと向かった。
しかし料理をする気にはなれず、無造作に冷蔵庫を開ける。
(…何にもない)
自炊自炊と自炊にこだわって、冷蔵庫の中には野菜などの食材しか入っていなかった。惣菜のひとつも無い。
「はぁ……」
俺は溜息を吐くと、静かに冷蔵庫を閉めた。流れていた冷風が遮断される。
コンビニにでも行こう。そう思って、俺は脱いだばかりのコートを再び羽織った。
▽ ▽ ▽
家からいちばん近くのコンビニで適当に食べ物を買ってきた俺は、テーブルの上にそれらを並べる。
勿論、徒歩で向かって徒歩で帰って来た。
「…やば……」
テーブルの上の冷奴とビール缶2本を見詰めて、自嘲気味に笑う。これは、相当老けたな。惣菜を食べるなんて久し振りだ。
そもそも、ビールとかアルコールを飲むこと自体が珍しい。
(…もう酔ってやる)
この一週間の出来事をビールなんかで忘れられる訳も無いが、せめて疲れくらいは紛らわしたい。
俺は、ビール缶のプルタブを開けて、中身を口の中に注ぎ込んだ。一気に喉を鳴らし、半分程までビールを減らす。
「…っはぁ……」
どうしてビールを飲む人はこんなものが好きなのだろうか。大して美味しい訳でも無いのに。
かと言う俺も飲んでいるんだけど、好きで飲んではいない。特に疲れた週の終わりにだけ、稀に飲んでいるくらいだ。
(二日酔いかな……)
ビール缶を2本も飲んだら、明日はきっとグロッキー状態になる。
それでも俺は、残りの中身を体内に流し込んだ。
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