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次の日は土曜で、休みだった。
間違って掛けていた目覚まし時計はすぐに止め、俺は少しだけ、また眠りにつく。
(眠い……)
今日は折角の休みだ。
休みの日くらいゆっくり眠っても、バチは当たらないだろう。
▽ ▽ ▽
夢から覚め、そっと目を開くと、そこには一ノ瀬くんがいて。
「…っ……」
いくら同居しているからと言っても、そのことには慣れなかった。
気を紛らわそうと、壁の掛け時計を確認する。
スマホで見るよりも早い。
(9時……)
平日であれば、既に勤務が始まっている時間だった。
休日でも7時には起きるから、今日は結構寝てしまったようだ。
(起きよう……)
そう思って、俺は一ノ瀬くんを起こさないよう、静かにベッドを降りる。
そして、いつまでもジャージのままではいけないだろうから、スーツケースから適当に私服を取り出した。
出来る限り場所を取らない為に、持って来た服は全て、スーツケースに入れるかその周りに固めている。
「ふぁぁ……」
着替えながら、俺は欠伸をした。
やっぱり、睡眠時間が長くても短くても、朝は睡い。
(……起こした方がいいかな)
服に袖を通しつつ、そう思う。
でも一ノ瀬くんは朝に弱いみたいだし、まだ寝かせておくべきなのだろうか。
一ノ瀬くんの寝顔を見たなんて言ったら、一ノ瀬くんは嫌がるだろうな。
そんなことを考えていると、俺が年上だということが自覚される。一ノ瀬くんだって、あれでも俺より年下だし、眠っていると可愛い。
それに、からかわれることも無いし。
(寝てるとね)
「…佐伯さん」
「っ……!」
すると突然、一ノ瀬くんの声と共に、後ろから抱き付かれる感覚に、俺は肩を跳ねさせる。
静かにしていたはずなのに、起こしてしまったのだろうか。
一ノ瀬くんの温もりが、すごく近い。
(デジャブ……)
この状況に、俺はそう思った。
前も、ベッドを降りようとしたら一ノ瀬くんに腕を引かれて、そのまま行動を制限された。今だって、それに似ている。
そうなると、この次に取る一ノ瀬くんの行動は安易に想像できた。
「一ノ瀬くん……」
そのことを考えると途端に不安になって、俺は一ノ瀬くんの方を振り向く。
しかし、一ノ瀬くんから返ってきたのは、言葉でも何でもなく、優しい口付けだった。
(なんでっ……)
「ん……っ」
口から漏れた小さな声に、俺は一ノ瀬くんの腕を解いて咄嗟に距離を取る。口元を押さえて、一ノ瀬くんの方を見た。
(こんなの、駄目だ……)
それなのに、どうしてこんなに心臓が煩いのだろう。
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