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2人だけの時間①
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ベッドに上がった一ノ瀬くんは、俺に向かって両手を広げ、腕を伸ばす。
「おいで」
そう呼ばれて、行かない訳にはいかなかった。
わざと少し距離を置いたところから呼ぶから、俺は一ノ瀬くんの元まで移動する。
そして、トン、と一ノ瀬くんに身体を預けた。
胸が高鳴る。
口から心臓が出そうなくらい、苦しくて。
心臓が、破裂する。
「…本当に、なんかもう可愛すぎますね。素直ですか」
そう言いながら、俺の身体を腕の中に収める。
周りが、やけに静かに感じた。
世界に、俺と一ノ瀬くんしかいなくなったみたいに。
(素直、か……)
俺だって、どうしてこんなに正直な行動を取るのかなんてよく分からない。だから全部、媚薬のせいにするんだ。
それなら、俺が恥ずかしい思いをすることもない。
「……悪いですか」
「いや、嬉しい限りです」
そんなことを言って、一ノ瀬くんは言葉通りの弾んだ声で笑うから。
もっと身体が熱を帯びて。
もう少し、いいかな。
とか調子に乗ってしまう。
「一ノ瀬くん…」
(今だけ……)
あとは言ったりしない。
今日だけが特別だ。
素直でいいんでしょう?
口にしないだけで、いつも思ってるから。
「大好きです」
何も躊躇うことなく、俺は口から言葉を発した。
その瞬間、一ノ瀬くんは驚いたような表情をして、それから僅かに顔を赤くする。
ほんとに、自分でも何言ってるんだろうとは思うけど。言ったことに対しては後悔していない。
また、一ノ瀬くんが喜んでくれるから。
(……赤い)
一ノ瀬くんが赤くなることなんて少ないから、俺まで頬が緩んでしまう。
「……ふふ」
「あ、笑いましたね」
そう言った一ノ瀬くんは、まだ赤くした顔で。
突然に頬を両手で包まれた。
触れたところから、じわっと熱が広がって、増々身体は火照る。
「……っ、ん…」
その後で口付けをされると、嫌でも声が零れた。
一ノ瀬くんは、何度も唇を噛むように。
頭が逃げる俺を追いかけてはキスを繰り返した。
息継ぎが下手過ぎて、余計に心臓は苦しくなる。
多分、媚薬のせいで可笑しくなってるんだ。
舌が痺れて。
脳みそが溶けて。
頭が麻痺する。
溺れてどうにかりそうだ。
(熱い……)
零れる吐息も、掻き乱す口内も。
何もかもが熱くて、俺は一ノ瀬くんの服を強く握った。
「…っ……」
そしてゆっくりと顔を離される。
「…佐伯さんの唇、柔らかいですね」
そう言って、一ノ瀬くんは赤い舌で自分の唇を舐めた。その表情は艶っぽくて、小悪魔的で。
また、馬鹿なことを言ってる。
そんなふうに思うけど、やっぱり顔は火照って仕方が無かった。
「佐伯さんも、俺と同じですね」
まるで、からかうような言い方。
「仕方無い、でしょう……っ」
今度は、俺が顔を赤くする番だった。
まだまだ、媚薬の効果は薄れそうになくて。
「…ねぇ佐伯さん」
すると一ノ瀬くんが、濡れた唇に、そっと指を触れてきた。
「そんなに欲情したような表情されると、俺がつらいんですけど」
そう、甘く囁かれる。
「は…ぇっ?」
不意に下半身に手を添えられ、俺はビクリと反応すした。
咄嗟に、一ノ瀬くんの肩を押し返す。
媚薬のせいで熱を孕んだそこは、たとえ布の上からなぞられただけでも十分な刺激になった。
「…や、だっ…触、ない…っで……!」
俺は、痛いくらいに一ノ瀬くんの服を握り締め、抵抗する。
だってこんなの、絶対に可笑しくなるに決まってる。
刺激が大き過ぎた。
「逃げないで。大丈夫、前にもやったことありますよね」
そういう問題じゃないのに。
一ノ瀬くんはまるで、俺の抵抗など嘲笑うかのように、片腕で俺の腰を引き寄せた。
「すぐ、楽にしてあげます」
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