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さすがにもう、媚薬の効果は薄れてくる。
俺が落ち着けるまでに、何度射精しただろう。
普通なら耐えられる訳がない回数だったのに、媚薬が回っていたせいで身体が興奮し、全く堕ちなかった。
ずっと一ノ瀬くんの膝の上にいたから、その辺りは白く汚してしまって。
「はぁ、ぁ……は…っ…」
身体の限界まで何もかもを出し切った後には、もう浅い呼吸しかできず、言葉を発することもままならなかった。
一ノ瀬くんの肩に頭を置いて、無理矢理にでも深く呼吸をするように努める。
それに、泣きまくった後でもあるから、しゃくり上げてしまうと、すごく息が苦しかった。
「…はーっ……は、ぁ…っ……」
両手で一ノ瀬くんの服を握り締め、背中を丸めながら頭を胸元に押し付けてやった。
それに対して一ノ瀬くんは、片腕で俺の頭を包み込み、背中を擦ってくれて。無駄なことは何も言わなかった。
(ごめんなさい……)
また、一ノ瀬くんに変なことをさせて。
媚薬の効果が抜けると、頭はさっきよりもずっと冷静になっていた。
「落ち着きましたか」
優しく問い掛けられれば、僅かに頭を振った。
「………まだ」
俺は、そう小さく零す。
冷静になっても、思うんだ。
まだ一ノ瀬くんからは離れたくない。
ずっと、近くにいて触れてほしかった、と。
媚薬なんかじゃない。
それが、今の俺の気持ちだった。
迷惑かな、とか思っても、一ノ瀬くんは小さく笑うだけで素直にまだ抱き締めていてくれる。
俺は、やっと楽な体勢で一ノ瀬くんに凭れ掛かることができた。
「…いいですよ。ずっと、佐伯さんの側にいます」
その優しい声は、酷く俺を安心させて。
自然と、乱れていた呼吸も整ってくる。
周りが静か過ぎて、トクントクンと刻む心臓のリズムがやけに大きく聞こえた。
今なら、流れに任せて聞いてしまってもいいだろうか。
「……一ノ瀬くんは、俺のこと、好きですか……?」
俺は何気なく、そんなことを聞いてみる。
一ノ瀬くんの返事なんて分かりきったことだけど、やっぱりいつもの電話が、俺には気掛かりだった。
でも、それを聞いてしまうのはいけないことのような気がして、絶対に直接は聞けないから。
「勿論です」
「本当に……?」
「本当ですよ。嘘吐いてどうするんですか」
一ノ瀬くんの気持ちに、何か後ろめたいことがあるようには見えない。
どうせ詮索したって、一ノ瀬くんから返ってくる言葉は同じなんだろう。
それに、そんなことを考える自分も、俺が一ノ瀬くんを信じられていないみたいで嫌だった。
「そう、ですよね……」
だから俺は、そうやって一ノ瀬くんの言葉を素直に受け取るしかない。
「今更何の確認ですか」
そう言って笑う一ノ瀬くんは、俺の肩を離して立ち上がろうとした。
それが嫌で、俺は咄嗟に一ノ瀬くんの服の袖を両手で引っ張って引き止める。
ずっと側にいてくれるって言ったのに。
嫌だ。離れたくない。
「……どこ、行くんですか……?」
不安げな表情で、声色で問い掛けると、一ノ瀬くんはくしゃっと俺の頭を撫でた。
「お風呂のお湯を溜めてくるだけです。すぐに戻って来ますから」
「………」
そう言われては、何も返すことができない。
さすがに、こんなベタベタな状態で、風呂になんか入らなくてもいいとは言えなかった。
「一緒にお風呂入りましょう。……ね?」
俺はしばし黙り込んだが、その後で仕方無く頷き、そっと掴んでいた手を離す。
一ノ瀬くんは、そんな俺の額に、軽くキスを落としてきた。
「いい子ですね」
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