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3.初めてのキスは優しくて-3
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祝が秋幸に惹かれたのは、そんな優しい性格を知ったからだとユキジには思えた。
先に出会っていたからとか関係ない。その人柄に惹かれたのだから、始めも後もない。
「っ……」
「どうした?」
ポロポロと、不思議と涙が出て、ユキジは目の前のティッシュ箱に手を伸ばす。
そして、無言でそのティッシュで目元を抑えた。
そんなユキジを見て、壱成が舌打ちをしたのが聞こえた。
「あんな声だけの男、何が良いんだ? 演技なんてまだまだだし、台詞なんて棒読み。……お前も見る目ないな」
壱成が笑いながらそう言ったのが分かった。
その言葉に、ティッシュで目元を抑えながら下を向いていた顔が上げる。
「秋幸も、なんであんな男を選んだんだか……。しかもオタクって……理解に苦しむ」
壱成は、セットして貰ったばかりの頭をガシガシっと右手で掻き、苛立ちを露わにしていた。
でも、そんな風に露わにされても、今のユキジには関係なかった。
失恋したからと言って、好きな人の悪口を言われて怒らない人間なんていない。
「祝の悪口……いっ言わないで下さいっ」
声が震える。違う涙も出そうだ。
だって、こうやって誰かに怒りを露わにするのは生まれて初めてなのだ。
「ハッ、耳垂れ下げてプルプル震えて何言ってんだ」
壱成はそう言うと、笑いながら更に距離を縮めて来た。
その男を睨み付けるが、椅子に座っていても座高が低いユキジの睨みには威圧は無く、相手には効いていないようだった。
「お前がアイツを庇ってもな、意味ねーんだよ」
「そ、そんな事……」
「無意味なんだよッ!」
「ちょっ、離し……ンンッ」
腕を掴まれた。そして、その次の瞬間だった。生温かい物が唇に当たった。
「ンンッ!」
離してと言っているのに、壱成は離そうとはしない。
しかも、舌さえも捩じ込んできた。
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