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9.朝、目覚めたら-2
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ユキジは幸せな気持ちに包まれて、顔が緩むのをどうしても隠せなかった。
「顔、ニヤついてる」
「ニヤついてない」
「ついてる。可愛い」
壱成はそう言うと、ユキジの頬に手を伸ばし、愛おしそうに触れて来た。その優しい手付きにユキジはドキッとしてしまい、身体がビクッと動いてしまう。
「いっ、壱成ってそんなキャラ? さっ、さっきと違う……」
「俺も正直、自分に違和感がある。でも、お前と同じ気持ちなんだよなって思うと、お前の事が愛おしくてそれを言いたくなる」
「か、可愛いって?」
「あぁ。相手と同じ気持ちになってる事って今までに無いからな……」
「あ、そっか……」
「だろ? お前もそうなはずだ」
「うん。そうだね。僕もだ」
初めての両想い。
だからこそ、いつもと違う自分になってしまう。ユキジ自身、こんなにも口数が多く、言葉がスムーズに出るのは初めてだ。
それに……。
「壱成……」
「ん?」
「す、好きって言って……」
「好き」
「も、もう一回」
「好き。お前が」
そう言って、壱成がユキジを自身の懐に強引に引き寄せる。ユキジはバランスを崩しながらも、その温かくて愛おしい胸に身体を預ける。
「ぼ、僕も好き……」
ユキジは、ふふっと笑いながらそう壱成に告げた。
そして、チュッと腫れぼったくなった唇に壱成から口付けが落ちる。その口付けに目を閉じ、無言でもっとと告げるユキジ。その可愛さに、また壱成はヤられる。
そんな事を繰り返していたら、あっと言う間に時間が来てしまった。
今日は、ユキジと壱成にとって重要なシーンだ。
でも、もう、不安はない。頑張ってみよう。そんな前向きな言葉が生まれていた。
ユキジは先にマンションから出ると、一度家に帰り着替えた。そして、忘れてはならない台本を鞄に突っ込み、現場へと向かったのだった。
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