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写メを見ていたら、どうしても諭吉の声が聞きたくなった碧は父親のスマホに電話をかける。
2コールで電話に出てくれた父親。
「碧~写メ見たか、写メ!」
もしもしは省略され、弾んだような父親の声。
「うん。見たよ。諭吉は?」
「おう、待ってろ!ゆきっつあ~ん、碧だぞ碧!」
電話の向こうで叫ぶ父親。
直ぐに、にゃ~ん。って鳴き声が聞こえてきた。
可愛い声に碧も、
「ゆきっつあーん」
電話口で叫ぶ。
『にゃ~ん』
電話の向こうで碧の声に反応する諭吉。
あああっー可愛いーっ!
碧は悶えるのを我慢しながら、
「諭吉、良い子にしてる?寂しくない?」
「にゃ~ん」
その鳴き声は寂しいよ。って聞こえて、胸がキュンとなる。
「分かった!今週末に帰るから」
思わず、そう言ってしまった。
「にゃー」
諭吉が待ってる!そう言った気がした。
って、な訳で碧は実家に里帰り。
JRで2時間。
その後バスに乗り換えて1時間ちょい。
碧の実家は農業を行っていて、広い土地に野菜や果物を作っている。
小さい牧場もあり、ヤギや牛、馬も飼っているのだ。
動物が好きな碧は牛達の世話をするのが大好きで、実家に帰る楽しみのひとつでもある。
「ただいまーっ」
玄関を開けると、
「にゃ~ん」
と諭吉がちょこんと座り碧を出迎えていた。
「ゆきっつあーん!会いたかったあぁ」
碧は荷物をほっぽりだし諭吉を抱き締める。
抱き締めた諭吉は碧の顔にすりりと自分の顔をこすりつけて、
「にゃ~ん」
ともう一度鳴く。
その鳴き声は『おかえり』と聞こえ、碧は、
「ただいま諭吉」
と返す。
「あら、碧」
奥から母親が出て来た。
「また帰って来たとね?そんな頻繁に帰って来るとお金は直ぐに無くなるよ」
母親は呆れ顔。
それもそのはず、先週の土日も碧は帰っていたのだ。
だから金欠なのである。
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