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「碧、帰るんなら電話しろっち言うてるやろ?兄ちゃん迎えに行っちゃるとに」
碧の兄も顔を出す。
「でも、兄ちゃん忙しいから」
碧は遠慮がちに言う。
「可愛い弟やん、遠慮はいらん」
碧には兄が3人と姉が1人居る。
碧は末っ子だから家族から可愛がられて育った。
長男、肇(はじめ)次男、郁(いく)三男、理(おさむ)長女、夏(なつ)
碧が帰る度に兄たちは碧を甘やかそうとする。
それが、いけない!と碧は思っているのだけど、甘えて育ったから中々、自立出来ない。
「皆は?」
「もう直ぐ昼になるから戻ってくるよ。碧もご飯食べるやろ?」
母親に言われ碧は頷く。
「荷物は兄ちゃんが持っちゃるけん、中に入り」
肇は荷物を持つと碧の背中を押す。
「会社でイジメられとらんや?」
「大丈夫だよ」
心配する兄にニコリと笑う碧。
「もし、イジメられたら兄ちゃんに言えよ」
「ありがとう。…でも、僕もう子供じゃないよ」
そう主張する碧だが、
土日には猫に会いに帰ってきて、子供じゃないと頬をプクッと膨らます仕草や行動は誰がどう見ても子供である。
昼には祖父や祖母、父親を含め、兄2人も戻って来た。
「碧~父ちゃんのスマホ見せちゃるけん」
碧の姿を見ると父親が自慢げにスマホを見せびらかす。
「碧~会社どうや?友達は?」
次男の郁。
「友達より彼女やろ?碧は可愛いからモテるやろ?」
と、三男の理、
「碧、米と野菜ば後で送っちゃるけん」
と、祖父。
「婆ちゃんね、碧ちゃんにって諭吉の抱き枕作ったとよ」
と祖母。
家族の会話の中で一番反応したのは祖母が作った諭吉の抱き枕で、
「婆ちゃん、見せて!」
と食いついた。
「あー、婆ちゃんずるかぞ、」
家族の非難に祖母はニヤリと笑い。
「見せちゃるけんおいで」
と碧を連れて行った。
部屋につくと直ぐに、
「ほれ、諭吉抱き枕」
と碧に抱き枕を渡してくれた。
抱き枕はフワフワで諭吉にソックリ!
「婆ちゃん凄か~」
碧は嬉しそうに枕を抱き締める。
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