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自室にて
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「………で、なんでそいつとお前が一緒に帰ってくる。」
「………………すまんぬ。」
子犬の皮を被ったただの大型犬に、ただの大型犬に、簡単
に絆されてしまった俺は、結局家に連れてきてしまった。
こんなつもりじゃなかった。今日はBLに癒される気満々
だったのに……。
そして、縁下に確認を取ることなく、何故か学年の王子の一人を連れてきた俺は、事の経緯を問いただされているのだ。
縁下は違うクラスだし、俺と相楽に関係があったなんて当
然知るはずもない。( 変な意味じゃない。) だから、俺が
相楽を後ろに連れて帰ってきたことに疑問を抱いたのは当然だろう。
「これには色々と訳があって……」
「こんばんわ、相楽海星といいます。いづれ悠人さんのこいびt、んぐっ…!?、はふほはんっ!?」
こいつアホだろ!?あ、アホか……。
縁下の前で、初対面のやつを前にして、何言おうとしてんだ……!
今すぐ怒鳴りつけたい…。しかしここは我慢しようじゃないか。
「ちょっと部屋に遊びに来ただけだから、気にしないでく
れ……。あ、上げても大丈夫か?ごめん、勝手に連れてき
ちゃって。」
「それは構わないが……。」
「……ありがとう。」
縁下が不思議なものを見る目で俺らを見ている。
まぁ、そうなるよな。だって傍から見たらどう考えてもおかしいもん。色々と。
とりあえず縁下にこれ以上、無駄に何かを疑われないようにするためにも、相楽の腕を引っ張って自室へと入った。
「うわ、ぁ………、これが、悠人さんの部屋………!」
「…………。」
部屋に入った途端、俺は相楽のしっぽがぴーんっ!となったのを確認した。
どっからどう見ても、ただの一般的な男子高校生の部屋でしかない。しかし、そんな部屋を前にして、相楽はまるで宝石でも見ているかのような瞳をしている。
「すぅ……、はぁあ……、悠人さんの匂いで、いっぱいですね!」
「気持ち悪いわ!」
俺のキレキレのツッコミを華麗にスルーしたあと、迷いなく俺のベッドの方へと歩みを進めると、相楽はその手前で俺へと振り返った。
「あの、悠人さん。」
「なんだよ。」
「ベッドに潜り込んで悠人さんの匂いを噛み締めながら幸せを10000文字程度で叫んでもいいですか。」
「駄目だよ。」
「失礼します。」
「話聞いてた!?」
こいつの変態さは普通ではないらしい。いや、そもそも変態って普通じゃないか。
じゃあ異常な変態?いや、そもそも変態は異常か。
あぁもう分からなくなってきた。
とにかくこいつは、俺の変態の概念を軽く上回る変態ということだ。
俺がそんなことを悶々と考えているうちに、相楽はほんとうに俺のベッドへと侵入を始めている。
……ん?始めている??
始めちゃダメだろぉぉおおおおおお!!!!
ていうか、普通の友達だったら、きっとこんなに牽制しない。
こんな変態だからこそ、ベッドへ上がらせたら、何をされるか分からない……!ほんとうに分からないから怖い。
「おいぃ!お前、降りろ!」
「嫌です!せめて悠人さんの匂いを体内に充満させるまでは降りません!」
「いちいち変態くさいんだよ!この変態が!」
「ひどいっ!」
こーなったら無理矢理にでもこいつを引きずり下ろしてやろう……。
そう思い立って、俺は相楽の腕を掴んだ。そして、思いっきり引っ張る。
「うわわっ!?ちょっと、悠人さん何するんですか!」
「見ての通りお前を引きずり下ろそうとしてるんだよ!」
「そんなあぁ!?いーやーでーすー!!」
俺がベッドから下ろそうとしていることが分かると、相楽も下ろされまいと抵抗してきた。
さらに引っ張る俺。そしてまた抵抗する相楽。
わちゃわちゃと小競り合いをしていると、ふと俺のバランスが崩れた。どうやら、相楽が抵抗して逆に引っ張った力が強すぎたらしい。
「うわ、っ?」
「へ、」
──ドサッ。
「っ、」
一瞬揺らいだ視界と同時に、受け止めた柔らかな衝撃。
何がどうなったのか、瞬時には理解出来ない。
しかしだんだん、自分がとんな体制をしているのか、理解出来てきた。
「んん…。」
ゆっくりと体を起き上がらせると、目の前には仰向けに寝転がった相楽がいる。
つまり、俺はうつ伏せの状態で相楽の上に乗っかっていたことになる。
……なんだこれ。もう一回言う、なんだこれ。
「あ、あー。その、ごめっ、ん!?」
俺がコケても謝ろうと言葉を発しても、相楽がさっきから何も言わないと思っていたら、急に背中に手が回され、ぐっ、と引き寄せらた。再び相楽の胸へドサッ、と落ちる。
「へっ!?いやいや、何お前!?」
「すいません…。あまりにも悠人さんが可愛いかったもので……。」
「は!?何言ってんだ!?」
こいつの言っている意味が分からない。
ただ男が男の上にこけて乗っかっ……、
ああぁぁぁあああ!?
これってまるでBL……俺としたことが……。
って、そんな事を呑気に考えている場合じゃない!
相楽の手はまだ俺の背中の上にあるものの、起き上がらねばと思い、腕に力を入れた。
が、しかし
「え、ちょ、」
全く起き上がれない。俺の体が動く気配すら無い。
俺は驚いて相楽の方をちらっ、と首をひねって見てみると、相楽はニコニコと楽しそうな顔で俺を見ていた。
「な、にしてんだお前。」
「悠人さんを離したくなかったので……。」
「怖い!離せ!」
俺がさらに力を入れても、体が少し動いたか分からないぐらいのレベルで、まったく男として情けなくなる。
「はぁあ……!俺の腕から逃れようと必死に動いてる悠人さん可愛い……。」
あぁそうかよ。こいつはそんな事言う余裕があるらしいな。腹立つ。
「もっと動いてください、悠人さん。」
やめろ!BL思考の俺にはそういう風にしか聞こえないから!
「いいからはなっ、せ…、……え。」
ちょ、っと、待てよ。
なんか、下半身に、当たって……。
俺が再び恐る恐る見上げると、今度は興奮したように顔を上気させながら、こちらを見て微笑んでいる相楽がいた。
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