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4月28日『ヨツバの日』(出会い編)⑦
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「見えないの?」
悲しそうな顔をしたヨツバは、空いている手を僕の右目前で振るった。
「見えなくはないよ。ぼやけて見えるだけ……」
うーんと唸るような顔をしたヨツバは、首を傾げる。
「曲がった愛し方をした…代償です」
弱く、困惑気味に笑む僕に、ヨツバはそっと顔を寄せた。
ヨツバは、僕の視力の劣る右目の端に、ちゅっと柔らかくキスを見舞い、言葉を紡ぐ。
「違うよ。この世には見なくていいものが沢山あるんだ。りゅんさまを傷つけるそんなものから遠ざけるために、右目は少しだけ、ぼやけたんだ」
ニッと笑ったヨツバは、僕の右目に、何度もキスをしながら、言葉を繋いだ。
「でも、見えなくても、感じられるものがある。ぼやけた代わりに、捕らえられるものもある。右目の代わりに、俺、なるよ。俺、……りゅんさまの為に生きたい……」
お願いでもするように、ヨツバは言葉を紡いだ。
「僕の傍に居ても、痛みや苦痛しか得られないよ。僕の愛は、……曲がっているから」
ふっと息を吐き、僕は言葉を繋いだ。
「それでも…………、いいの?」
右目へのキスを繰り返すヨツバの頬に触れ、問うように、ぽんぽんっと叩いた。
「俺に向いてんなら、いいよ」
ヨツバは、僕の顔を両手で挟み、覗き込む。
嬉しそうに、笑顔を湛え、口を開いた。
「りゅんさまの感情が俺に向いてるなら、…俺に『居場所』くれんなら、俺、なんでも受け入れられるよ……」
言葉を紡いだ後、ヨツバは、はっとした顔をする。
きゅっと眉根を寄せ、困惑の色を浮かべた。
ぶんぶんと頭を振るったヨツバは、何かを思いついたように再びの笑みを浮かべ、キラキラとした瞳で僕を見やった。
「受け入れるんじゃなくて、欲しいんだ。俺、りゅんさまの感情が、気持ちが欲しいっ」
ヨツバは中途半端に肌蹴させられた僕の胸に顔を埋めるように抱きついた。
「りゅんさまの感情が、俺に向いてんなら、…俺のコト見てくれんなら、それで、…いい」
胸元から顔を上げたヨツバは、ニッと歯を見せ笑う。
そんなヨツバに、心の中が、すっと軽くなった気がした。
「痛いのも、辛いのも受け入れられるなら、俺のコト、飼ってくれるんでしょ?」
鼻息荒めに言葉を紡ぐヨツバの髪を梳き、同意するように、ぽんぽんっと頭を叩いた。
「俺は、ヨツバだから。ヨツバはね、持っている人に幸福をもたらすよ。りゅんさま、絶対、幸せになれるよっ」
自信満々に言葉を紡ぐヨツバに、僕は、やっぱり、くすくすと笑ってしまった。
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