アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
2 (R18)
-
末理がその少年と出会ったのは、今から半年前の秋のことだ。
うまくいかない修行、落ちる一方の評価。本家での居場所すらなくしかけ、身も心もボロボロになりながら逃げ出し、迷い込んだ田舎道で、末理は1つの祠を見つける。
近くには古い鳥居の跡があるから、明治時代の神社の統廃合などで失われ、忘れ去られたものだろうか。訪れる者も随分いないようで、どことなく荒んだ雰囲気が漂っていた。
それを見て、何となく「怖い」と末理が感じたのは、身の内に潜む霊能力あってのことだろう。けれど、畏怖を感じて怯えるよりも、魅入られる方が早かった。
ふらふらと吸い寄せられるように祠に近付き、ひざまずいて柏手を2回。
――早く一人前の祓い師になれますように。
本家に身を寄せてから3年、ずっと心に溜めていた悲願を頭に思い浮かべ、末理はそっと目を閉じた。
後からいくら考えても、自分がどうしてそんな真似をしてしまったのか、末理にもよく分からない。よく分からないまま願ってしまった。それこそが、魅入られた証拠なのだろうか。
『祓い師、ね』
突然耳元で囁かれ、末理は「うわっ」と飛びのいた。
祠の前には漆黒の直衣姿の少年がいて、末理をニヤニヤと見つめている。
『いいぜ、オレが叶えてやる』
少年はそう言って、次の瞬間、末理の真横に現れた。
温度のない彼の指が末理の髪を撫でつけ、温度のない吐息が耳元をくすぐる。
『けどお前、忘れてねーか? 神サマに祈るには、お供えモンがいるんだぜ』
「お供え物……?」
末理は鳥肌を立てながら、目の前の祠と黒の少年とを見比べた。
神前に供えるべき酒も菓子も、賽銭すらも持っていなくて、どうすればいいか分からない。
少年が禍々しいモノでないことは、直感で分かっていた。
禍々しくはないが、きっと純粋に優しくもない。神と名乗る存在が、無条件に優しいはずがない。
『何も持ってねーなら、お前でいーや』
黒の少年はにこやかに言って、末理にその手を差し出した。お前でいい、と、その言葉の真意を事前に悟ることはできなくて。
『来い、お前をお望み通り、一人前の祓い師にしてやる』
末理は促されるまま、差し出された神の手を取った。そうして、その場で犯された。
『オレのことは「朔也」と呼べ』
黒の少年は末理に真名を与え、胎内に精を与えた。
少年の指にも吐息にも肉根にも温度はなかったけれど、体の奥深くに注がれた精は熱く浸みて、末理に悲鳴を上げさせた。
末理が凄まじい程の霊力に目覚めたのは、その日以降のことだ。
元から潜んでいた霊力に、少年からの神気が混じり、琥珀色の輝きを得た。
雑多な弱い霊を近寄るだけで切り祓い、対峙する悪霊には言葉少なに「どけ」と言う。淡々と仕事をこなし、次々に実績を積む「琥珀鬼」。
その末理の変化に、一ツ橋家の当主を務める祖父は老いた眉をひそめたが、結局何も言わぬまま末理の独り立ちを認めた。
朔也に願った通り、早々に一人前の祓い師になった末理の元に、以後、大小の仕事が回されるようになる。
朔也の力を借りて仕事を1つこなす度、1度体を神に捧げる。それが朔也から一方的に告げられた契約だ。拒否権はない。
また末理の方も、彼からそうされることを拒もうとは思っていなかった。
今日もまた、仕事を無事に済ませた見返りに、末理は朔也に体を差し出す。
ひと気のない末理の部屋に、うごめく影はたった1つ。けれど見る者が見れば、きっと色白の少年に覆い被さる、もう1人の少年の姿を光の中に得るだろう。
半ば服を脱がされた、あられもない格好で、末理は自室の床に四つ這いにされた。
不可視の指先が末理の薄い胸板をまさぐり、薄茶色の乳首をきゅうっとひねる。温度のない舌に細い首筋を舐め上げられて、末理はたまらず息を詰めた。
「あ……っ、やあっ」
『イヤな訳ねーだろ、ここ、こんなにしてんのに』
耳元に響く、意地悪な囁き。
不可視の体が末理の上にのしかかり、キレイな色の陰茎を不可視の手が握り込む。温度のない手は末理を煽るのも絶妙で、たちまち彼を追い上げた。
「やっ、やっ、待って……」
切羽詰まった声を上げても、神にその願いは届かない。
快感に耐えようと、しなやかな背中が猫のように反る。
「ああーっ!」
部屋に響く善がり声。同時にびゅっと白濁が散って、神の御手を白く汚した。それを満足そうに口に含み、なぶるように朔也が笑う。
『甘ぇ。お前はホント、何もかも甘ぇな』
温度のない舌が、末理の半裸の背中を這った。射精の余韻に浸る間もなく、胸を、腰を撫で回される。
やがて温度の無い指が、末理の双丘をちゅうちょなく割った。
何度となく貫かれ、咲かされたつぼみが、神の息遣いを感じてひくんと疼く。
ひゅっ、と末理が息を詰めた理由は、期待だろうか、恐れだろうか?
温度の無い堅い肉が、焦らすようにつぼみに触れる。
潤滑剤の助けもいらず、好きなように末理の体を扱えるのは、人知を超えた存在だからかも知れない。
「あ……、ん、ああっ」
ずるりと奥まで太いモノに貫かれ、末理の体ががくりと伏せる。
高く上げた細腰を、不可視の両手に掴まれれば、後はもう玩具のように揺すられるだけ。
『いーぜ、すげぇよく締まる』
なぶるような囁きを耳に与え、朔也は動きを早くした。
「や、あ」
末理の啼き声が、がらんとした広い部屋を満たす。
うごめく影は1人分、だが熱くなる息遣いは、確かに2人分響いていた。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
2 / 16