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ひとりでだってできる
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枕元に置いた時計のアラームの音に目が覚める。
アラームセットなんて何年ぶりだろう。
昨夜、キミはボクの家を訪れた。
反省してるの?とか
靴がとか
着替えないままでとか
いろいろ説教されてうんざりした。
夕食はせっかく作ってもらったから食べたけど、美味しかったけど、けど…いつもみたいに美味しいって心から思えなかった。
美味しかったのは美味しかったんだ。
美味しくないわけはない。
だって、キミの料理はボクの好みを知り尽くした料理だから。
でも、キミはこれと同じモノをボク以外の人にも作ったりする日がくるんでしょう?
それを考えると嫌だったし、美味しく感じなかった。
だって、キミはボクのモノだから。
キミの作るモノさえ全部。
なのにそう考えていたのはボクだけだったみたい。
「ねぇ、翔……」
食べ終えて箸を置くとボクはキミに口を開く。
説教されてずっと尖らせていた唇を元に戻して。
「何??」
「もう明日から翔、要らない……」
ボクは確かにそう言った。
そう言って「じゃあね、ばいばい」って手を振ってキミを追い返した。
食べ終えた食器もキミは片付けてないし、お風呂も入れてないし、おやすみも言ってなかったけれど…キミに傍にいて欲しかったのにその日だけは傍にいて欲しくなかったんだ。
だって、キミにボクは要らない、から。
ボクはキミなしでも生きていけるんだ。
そう思って食器も片付けたし、お風呂も入れたし、おやすみもなしで布団にも潜り込んだ。
そして、目覚ましの音で目が覚める。
ほら、ね、キミなしでもボクは大丈夫。
重い瞼を開けて目を擦る。
ぽろりと涙が零れた。
でも、コレは寝起きだからだよね。
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