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何も無い授業
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授業が始まる。
一時間目が数学なんて先生が教室に入ってきて初めて知った。
いつもはキミが時間割通りに教科書、ノートを鞄に詰めてくれるから。今日は記憶でこの曜日はこの教科だったかなって思って教材をいれたから、鞄を開いて数学の教科書を探すけど見当たらない。
まぁ、いいかと違う教科のノートだけを取り出して黒板に板書されていく問題と解答を写していく。
いつもは適当にとるノート。
今日からは自分で取らないと。
もう見せてくれる人はいないんだから。
一通り板書が終わり、先生が何ページの問題解けなんて。
教科書ないから解けないんですけど。
くるくるとシャーペンを回して右斜め前に座るキミの方を見る。
いつもの様に真面目に問題解いているキミはファンができるのは何でもこなせるからだけじゃない整った顔をしていて、女の子っぽい顔のボクからすると羨ましくてたまらない顔をしている。
はぁとうっとりしているとぱんと勢いよく叩かれた。
「……っ…………。」
叩かれた頭を押さえて叩かれた方向を見ると教科書を丸めてボクを見る先生。
「香野、教科書はどうした??」
「忘れました。」
「隣に見せてもらうとかないのか、お前は。」
「や、黒板写せばいっかなって。」
先生はわなわなと震えていた。
怒らせたな、それは分かったけどだからといってどうしようとも考えなかった。
謝ったって教科書は出てこないし。
チャイムが鳴る。
先生が「昼休み、職員室な」とだけ残して教室を去っていった。
隣の席のやつがボクに声をかける。
「うみちゃん、何やってんの?? そんなキャラだった??」
けたけたと笑ってボクにそんなことを言う。
名前すら覚えてないクラスメート。
「次の教科の教科書はあんの??」
「次は何??」
「は??それすらも知らねーの??次は現代文、その次は化学……」
隣の席のやつが親切にも今日の時間割を教えてくれた。
「ありがとう。」と礼を言えば目を丸くして、「そんなやつだったんだ。」なんて。
一体、みんなの目にはボクがどう映っているんだろう。
そういえば、ボクってこのクラスでキミ以外と普通に話したことあったっけ??
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