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間に合え
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「んじゃあ、今日は……そうだな、まぁ、月が昇る前には帰ってくるよ」
「絶対よ!破ったらニガヨモギのケーキだからね!」
「それは勘弁してくれよ」
他愛ない会話をして、いつも通りに仕事を探しに出たはずなんだ。昼飯もヒスイ達のところで食ったし、いつもどおりに切り上げてたはずだった。
「ただいまー……?リサ?ラーサ?リマ?」
呼べる限りの子供の名前を呼んでいく。何度も呼んだ。
「トト?カール?タオ?スー?」
駆けて来る足音は無い。
「トーマさんっ!」
「村長っ!みんなは……!?」
「ひ、とさらいがっ……集団で、わたしはっ、老人だから無駄って……!」
「……ッ!!」
幸い、村長の腕の傷は浅かった。予備の包帯を巻きつけようとしたが、それを村長は制して村で飼っている馬小屋を指差す。
「お願いトーマさん。あの子達を……みんなを!」
馬は幸い無事だった。トト達が言っていた一番脚の早い馬に跨り、村長の教えてくれた馬車に追いつくために森の中を駆けた。
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