アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
お友達
-
陽気な気分で教室に戻ったら、クラスメイトの西が声をかけてきた。
「海斗、早速の呼び出しどうだった?」
「西くんや、やめたまえその明らさまに面白がっている顔は。」
「だってー、まさかの谷原だし。雅ちゃんの事言われたんじゃないの?」
「……まぁな」
西は雅と谷原が付き合っていた事を知っている。そして、別れた事を俺に教えたのも西だった。とは言え、2人が付き合ってた事は割と周知の沙汰でもあった。何を隠そう雅と谷原は2人ともαなのだ。あの1割にも満たない優秀な種族が同じ学校に2人もいるなんて凄い話。そしてやっぱり俺の雅は天使だよね。αなんて凄いじゃん!可愛いし、頭もいいしね。本当に自慢なんだよね!
本当だったら、教師と生徒が付き合ってるなんて、世間じゃ白い目で見られちゃうし、問題にもなっちゃうんだけど、そこはαの2人だから許されちゃってた。優秀な者同士が惹かれ合うのは当然の事。そこに世間の理なんて関与出来ない。αはそれだけ凄いんだって事だよねー。
世間一般的には自分がα、β、Ωのどれなのかは小さい頃に検査があってわかる様になっている。それは学校や会社にも届けを出さなきゃならない。特にΩは何かがあった時、学校や会社側が対処できないと困るから。発情期が来ちゃったΩは本当に遺伝子を残す事しか考えられなくなっちゃうから大変なんだ。大体は抑制剤を打ってる筈だけど、稀にそれでもその症状が出ちゃう人はいるんだって。
俺はそうじゃないといいなぁ……なんて、こう言ったらバレちゃうよね…そう、俺は1割にも満たないαよりも少ないΩなんだ…こんな確率でよく生まれたものだよね。
世間では自分がΩである事を隠して生活する人がいるんだ。ちなみに俺は隠してないよ。でも特に社会人には多いみたい。Ωっていうだけで雇ってもらえなかったりするし、それだけで仕事が出来ない奴って思われたりするんだって。だから抑制剤で上手くコントロールしないとダメなのに、やっぱりバレちゃって、たまにニュースになったりしてる。偽る事は罪だから罰せられるのはしょうがないけど…だったらΩでも生きやすい世の中にしてほしい。そうなれば、ΩがΩである事を隠す必要もないんだから。皆は劣等生だって思ってるけど、発情期が来る事と、男でも妊娠出来る生態以外は皆と何も変わらないんだよ。努力すれば頭も良くなるし、運動だって得意になれる。顔が良い人だっていっぱいいる。だってそれは親から貰った遺伝子だもん、αとかΩとか関係ないよね。ただ、αはそんな努力もいらないって事だけど。
でもさ!雅はそういう努力も怠らないんだ!勉強も復習するし、テスト前は勉強するし、おしゃれにだって気を使ってる。素材が良いからって手を抜いたりしないところも天使なんだよね!
「それで〜?谷原なんだって?」
「別に何って事じゃないけど、何か企んでんだろって言われちゃったからそうだよって言っただけ。」
「なんで言っちゃったの!?てか何か企んでたのかよ!」
「当たり前じゃん。俺の雅を傷付けておいてのうのうと生きてるなんて万死に値するよ。」
「おまえの愛情は偏りすぎだよ。…でもまぁ、俺は楽しいから良いんだけどなー。」
「君も大概素直だよね。そんなところが好きだけど。」
「やめろやい。照れるだろー。」
なんて言いつつ全然照れてない西だけど、俺は本当に君が好きだよ。あ、恋愛って意味じゃないけど。だってさー、Ωな俺にこうやって普通に話しかけてくるの、本当はあまり多くないんだ。当たり障りのない事とか、連絡事項位は話してくれるけど、こうやって踏み込んだ話をするのはさ、他にはほとんどいないんだ。西は友達だけど、他は皆クラスメイト止まり。生まれてからずっとそんな感じ。だからきっと、今年のクラスもそんな感じなんだろうなぁなんて…まぁ、良いんだけどね。
「んでさ、早速谷原の授業じゃん1限目。何かすんの?」
「え?あ、そうなの?てか谷原って教科担何?」
「…本気で言ってんの?さっき化学準備室に呼ばれてたじゃん。化学だよ。」
「あーー…そうだよねぇ…」
全ッ然考えてなかったや。
「海斗ってさ…たまに残念だよね」
「うっさいわ。」
そんなこんなで化学の授業です。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
6 / 201