アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
andante
-
リョウ達と別れた後、ハルトとシュウは駅に向かっていた。
二人で街をふらつくのは結構久方ぶりに思える。
進級してから絶えずサガラやユツキ、リョウがそばにいた気がする。
仲間たちと一緒に騒ぐのも楽しいが幼馴染と散歩するのもなかなか乙な気がしてきた。
シュウはお腹を撫でながら、駅に一直線で向かうハルトの背中に追いすがっていた。
脚の長いハルトとのコンパスの差で、徐々に距離が開いていく。
マイペースさも加わり、二人の距離がどんどん離れていくので、シュウは耐えきれず声をあげた。
「まっ待って!」
「…遅い」
むっとした顔で渋々ながらもハルトは脚を止めた。通行人が彼らを避けるように迂回路を通って行く。
ハルトが振り替えると、夕方の混雑に足止めを食らいながら、シュウがおぼつかない足取りで人込みを抜けてきた。
「何してるんだ。置いて行くぞ」
「人が多すぎるんだ!それにハルトが早いんだよ!」
「お前がどんくさいだけだろ」
「ひっひどい!俺だって一生懸命ついて行ってたんだぞ!」
自分の苦労を理解してくれないハルトに、シュウは頬を膨らませて反感を示した。
不意打ちのむくれように、刹那彼の思考回路が停止しかけるが、多大な精神力を使って何とかポーカーフェイスを崩さずに済んだ。
表面上だけで呆れた溜息をついた。
「お前の遅い足に合わせていたら日が暮れる。何とかしてついてこい」
「そんな無茶な…」
シュウの泣きごとに返事を返さないまま、無言で歩みを再開するハルト。
くそ!この鬼!
恨み事は心の中だけにとどめ、シュウはハルトに言われた通り自分の力で彼に食らいつくように心がけた。
意地悪をしてハルトが早足になったらどうしようと頭痛がひどくなったが、追いつけないことはなかった。
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
28 / 106