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青春は泥の中を駆け巡る
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自転車を操って第2グランドへ急いだシュウが着いた頃には既に試合は始っていた。
見覚えのあるユニフォームと黒いユニフォームが白い白球を追いながら駆け回る。
芝生を滑り降り、仲間たちを探しているとすぐにその姿は見つかった。
フェンスに張り付いたサガラが興奮気味に「いけー!そこだー!」と熱い歓声を送っている。
その後ろで微笑ましげな笑みを浮かべて見守っているユツキ、付き合ってられないといわんばかりに座り込んでいるハルトも発見できた。
「おーい」
「遅かったな!どうせ寝坊したんだろ?」
「なっなんでそれを…まあいいじゃん!そんでどっちが勝ってんの?」
「まだ、始まったばかり」
「リョウどこ?皆走るの速すぎてわかんない」
「4番だよ!おっ!ボールとった!」
サガラの実況につられ、白いボールを探した。ボールとカットしたリョウは、素早い動きで食らいついてきた敵をかわした。
そのまま敵ゴールまで攻撃を避け、一気に突っ走る。
あ!シュウがリョウのスピードに見とれているうちに、右足が後ろに下がった。勢いよく振り払われた右足がボールの中点を突き、弾丸のごとく飛んでいく。
それはみごとにネットにぶち当たり、得点を告げるホイッスルが甲高く鳴り響いた。
わぁっと味方陣地から歓声が轟き、リョウは満足げな笑みで身を翻した。
「かっかっけぇ…いつもあいつあんなに地味なのに!」
「流石だな。サッカー部の部長を務めるだけある」
「…凄い」
常にリョウを小馬鹿にする3人も、この時ばかりはほめちぎった。本人が聞いていれば感動のあまり涙ぐんだかもしれない。
試合はそのまま味方が優勢のままハーフタイムを迎えた。
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