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男娼とヤクザ/シリーズ番外編
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最近、二人の娼夫が夜の街から消えた。
一人は、この辺りを牛耳る組の幹部・嵩原となんとか結ばれた少年娼夫・大和。
今では、毎日嵩原の帰りを待ち、甲斐甲斐しく火傷や切り傷だらけの手で料理に励んでる。
最早、新婚夫婦さながら、ヤクザの寵愛を独占する日々。
そして、もう一人は抜群の見た目と醸し出す上品な雰囲気が世の成金達を魅了させた、シュウ。
美しく、色気漂う美青年。
「一成……一成、起きないと遅刻するで」
「ん……シュ…さ……もう少し…」
二人が一緒に暮らし始めて、早三ヶ月。
一成が住んでいた小さなアパートに越して来たシュウは、まるで専業主夫のように毎日を過ごしてた。
台所に、部屋1つ。
決して裕福とは言えない世界だが、シュウが来てからはこまめに掃除をしてくれるせいか、とても整理の行き届いた部屋となってる。
しかも、ちょっとした色使いや小物がお洒落。
元々シュウの持っていた物もあるが、娼夫の時に貯めたお金で少しずつ増やした物は、高くはなくてもセンスがいい。
「ダメや……ご飯食べれんくなる」
「んー…シュウさんのご飯、食べた…ぃ……」
「ほな、起きて」
二人で暮らすのに買い換えた、ダブルベッドの上。
優しい声に絆され、一成はようやく目を開く。
「シュウさ……ん」
「……おはよう、一成」
うっすらボヤけた景色に飛び込んだ、とびきりの美しい人。
おはようの後にソッと触れてくる唇は、一成の僅かに開いた口をやんわりと塞いだ。
「ぉ……おはようございます……」
一成は顔を真っ赤にして、シュウの首筋へ手を回した。
「好きです……シュウさん……」
「ぷ……何、それ……」
幸せな瞬間。
肌と肌が擦れるほどの距離にいる、大好きな人。
初めての夜なんか、一成はベッドの下で正座をし、ド緊張でシュウに迎えられた。
それくらい、愛してる。
毎日毎日、何かの度に好きだと伝えても伝え足りない溢れる恋心。
「はぁ……夢みたいやな…シュウさんが、ここにおるなんて」
「毎朝言うてるで?」
「だって……」
「……俺も好きや」
「ぁ…ん……んっ」
再び重なるキスに、どれだけの想いが込められているか。
「好き……」
シュウも、それは同じ。
自分みたいな娼夫を愛してくれた、一成への想い。
「大好きや……一成」
一成がいなかったら、今の自分はいなかった。
全てを捨て、身体を売って生きてきた青年に訪れた、優しい春の風。
もう離れない。
この温もりは、自分だけのもの。
一成へ身を委ねるシュウの表情は、何よりも穏やかで輝いてる。
「あっ……ヤバ……ホンマに遅刻するっ」
「ホンマや!一成、早く着替えてっ……」
慌てる姿も、また何故か楽しげに。
壁に掛かった時計を見上げ、急ぐ一成へお弁当を渡すシュウが、なんとも初々しい。
幸せな瞬間は、まだまだ続いてゆく。
(久し振りにこちらを更新しました。まだ読んで下さる方がいて、本当に感謝しています。いつもありがとうございます)
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