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「椿、おきろ。」
軽い頬への痛み。
それから自分を呼ぶ声。
頭の中と瞼が鉛のように重たい。
椿はその声と痛みから逃げるように寝返りを売った。
「んん、やぁ……まだ寝る……」
「……まだ寝るじゃねーよ。お前は……っ起きろ!」
「やめてー……」
微睡む意識は覚醒しない。
眠たい。眠たい……。
まだ寝ていたい。
お願いだからそっとしといてくれ。
そう思ったのに椿の体は腕を力いっぱい引かれることで、起こされてしまう。
むり……。
けれどもすぐに椿の体はベッドに沈んで睡眠時間を貪ろうとする。
「おい椿、起きろって」
「んん……」
「つーばーきー?お前起きないとキスすんぞ」
「キスぅ……?んん、キスしたら寝れ……」
キスすれば1時間睡眠時間を延長する?
それなら好きなだけしてくれ。
そう言ったつもりだけど言えてない気がする。
てか、なんか変なこと言われている気がする。
けれども眠い。抗えない。
「つーばーきー?襲うぞ」
「んぅ……もぉ……やめてって」
「やめて欲しかったら起きろ」
「あ……う……うー………」
体に触られる椿は不快感にもぞもぞと体を動かす。
眠いのにやめてほしい。
寝かせて欲しい。
ていうかコイツ誰だよ。
なんで俺を起こしてんの?
俺男の兄弟なんていたっけ?
まって、俺今実家にいるんじゃなくね?
徐々に覚醒してくる意識。
何かがおかしい。
なんだ?なに、なに、何が起こってる。
椿が着ているTシャツの中に手が潜った時だった。
椿は慌てて飛び起きた。
「なに!なに!なに!」
「おお、起きた」
勢いよく体を起こす椿を辛うじて避けた男。
その男は裕人だった。
捲れ上がった服を下に引っ張った椿。
裕人はそんな椿をニヤニヤと見下ろしている。
「ちょっと!だから人の家に勝手に入るなって言ってんだろ?!ていうか!何してんの!毎回毎回お前は!」
「なんだよもうちょい起きなかったら襲えたのに」
「お前はバカか?!」
「お前より賢いよ」
「はぁあ?!殺す!」
昔から朝の弱い椿。
小さい頃から裕人に迎えに来てもらっていたのだが、一人暮らしを始めて親元を離れた椿。
それまでは親に起こしてもらっていた椿だったのだが、一人になると起こしてくれる人がいない。
そこで同じ大学に進学した裕人が起こしに来てくれているのだ。
親は全てを裕人に一任しているため、合鍵も椿に許可を取らずに渡されていた。
だからこうしてあまりにも起きないと侵入されるのだ。
「早く用意しろ、遅れるぞ」
「起こし方荒っぽい……」
「普通に起きればいいんだよ。そろそろちゃんと起きねーと大学卒業したらこうして面倒見てやれねーぞ」
「……別に頼んでないし……」
「すぐそういう事言う。子供か」
「子どもだもん……」
もたもたと服を着る椿。
裕人は椿から離れると、冷蔵庫を覗いて朝ごはんになりそうなものを探す。
「昨日ちゃんといったか?学校」
「行った〜。」
服を着終わった椿はまたぽふっとベッドに横になる。そして投げ出されているスマホを手に取ると、昨日のチャットを見返した。
昨日は寝落ちしたせいでよく覚えてないのだ。
何話したんだっけ……。
『いい夢見てね、おやすみ。』
で終わっている最後のメッセージ。
そこから上にスクロールしていく。
「……!デート!!」
そうだ!デートの話してたんだっけ。
日曜日、日曜日って明後日じゃん。
やばいどうしよ……服あったかな……。
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