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それから1週間経って福田の家までの道もいい加減覚えた。だから1人でも福田の家までは行けるのに毎日教室の机の横に掛けっぱなしの俺のカバンを持って俺のいる場所まで迎えに来てくれる
その日によってバラバラだけど、非常階段だったり、屋上だったり、見付けてくれるのを少し楽しみにしている自分もいる。ただ、見つけた時、時折ふわっと優しい瞳で俺を見ている…気がする。気がするだけだけど
「なんだか、彼氏が彼女を大切にしてるみたいだな」
思わず1人の階段でボソッと呟く
ドラマなんかで見た甘い雰囲気を醸し出してる男役にそっくりな気がする。
「まぁとりあえずお邪魔しますー」
「ほんとそれ別にいらねぇのに」
まるで普通の人になれたみたいで嬉しいんだってば
「いいじゃないの~~」
「言わねーぞ。古いし」
「そこはちゃんとダメよダメダメ、って言うんだぞ」
つまんねーやつ(´・ω・`)
ちょっとした茶目っ気くらい許せよたまになんだから
来るたびに思うけど、福田の家はいつも綺麗だ。整理整頓されているし、毎日掃除機かけてます?ってくらいゴミがない。福田は実はとてもマメなのかもしれない。
もういっそちゃんと住んでいると言えるのか怪しい
「ジュースもらっていいか?」
「んー」
数分たって俺がそう聞くと、福田はマンガを読みながら曖昧に返事をした。最近ではもう勝手に家の中を動き回ってしまっている。慣れって怖いデスネ
キッチンにある冷蔵庫からオレンジジュースを取り出して二つのコップに注ぐ。それを持って部屋に戻ろうとした
「あれ」
リビングのテーブルの前に写真立てが置いてあることに気づいた。近寄って見てみたら可愛い男の子と綺麗で優しげな女の人が微笑んで写っていた
なんだかその写真を見て心臓がキュッとした
俺は急いで部屋に戻りコップを置いているお盆をドンっとローテーブルに置く
「ビックリしたー。なんだ急に。どうした」
その音に少し驚き、福田はマンガからこちらに目を向けた
「なぁ、リビングのテーブルの前にある写真に写ってる男の子と女の人って…」
「ああ、あれ見たんだ…」
「う、うん。なんか気になってさ。あれって」
福田とお母さん?と続けるつもりだったのに聞き終える前に福田から先に話してくれた
「小さい頃の俺とおふくろ」
やっぱりお母さんなんだ。
「優しそうな人だなぁ。とても綺麗だし」
「優しかったよ」
「…ん?…かった?」
なんで過去形なんだ?
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