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「で、できた...のか?」
福田に借りた携帯のレシピより調理時間をオーバーしてしまったけど、多分、できたと思う。
初めてだし、失敗したらって緊張で少し疲れたかも。
なんか今日は"初めて"のことが多いな。まぁ生きてるうちに色々できるってことはいいことだよな
ふと時計を見るともう昼の12時。お昼を食べるにはちょうどいい時間だ。
そう思い俺はお盆に暑いお粥の入っている小さな鍋とともに茶碗とスプーンを乗せる。お盆を持って部屋へ向かおうとしたが
フラッ...
「ッッ...くそッ...」
慌ててキッチンの上にお盆を置き、こめかみを抑える。
どうして...なんで…。そんな言葉が頭をよぎる。
動きすぎた?疲れすぎた?
そんなの「外」にいる時点で当たり前だ。
くそッ、こんなに早く。と慌ててしまうけど、薄々勘づいていた。自分の体は、自分が一番理解してる。
───確実に、力が低下してる
そろそろ、やばいかもしれない。
そんな恐怖が俺を飲み込んでいく。
心の中で大丈夫、大丈夫と言い聞かせるように唱えた。
多分もうそろそろ俺はこの世から消えるのだろう
…神様とやらがいるなら頼む
もう少し、もう少しだけ生きる時間を伸ばしてくれ...!
今日、初めて人の役に立てた。初めて人に頼ってもらえたんだ。だから、頼む...生きる時間を与えてくれ。後悔しながら死ぬのなんてまっぴらゴメンだ。
この願い、叶えてくれますか...?
そんなことを思う自分が滑稽にみえた
充「ははっ、今更《希望》なんて。やべッ、泣きそ、」
手で顔を覆いながら歯を噛み締め、我慢しようとしたけど無駄だった。
俺の意思を無視して目から涙が溢れてくるだけ
「泣きやめ、泣きやめ」
ボソボソと呟き、顔を拭きながら俺は立ち上がり、お盆を持ち直した
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