アダルトコンテンツが含まれます。
18歳以上ですか?
- 文字サイズ:
- 行間:
- 背景色:
-
8
-
彼女を家まで送り届け、
途中父親と昔住んでいた家に帰りそうになりながら結斗さんが待つ自宅へと帰り着いた。
「ただいま〜」
学校指定の革靴を脱いで揃えて置いた。
「…お帰り、晩御飯作っておいた」
帰宅早々何やらいい香りがすると思ったら、そうか、今日は結斗さんが夕飯を作ってくれているのだった。
玉ねぎを炒めた匂いにケチャップの匂いも…オムライス?
食卓にはラップのかかったオムライスが2皿ある。
「あ、待っててくれたんだ!ごめん…帰るの遅れて」
「気にしないで、今温め直すから席についてて」
「わぁ!ほんとにありがとう!」
言われたまま食卓の自分の席に着く。
電子レンジで温めているらしく機械音が聞こえてくる。
チンッ
温め終えたことを知らせる音がなりそれとスプーンを持って結斗さんが僕の真向かいに座る。
「「いただきます」」
手を合わせていただく。
スプーンですくってはふはふしながら口へ運ぶ。
……味は、いまいち…塩っぱくて玉ねぎは芯が残っている。
でも…
「人が作ってくれたごはんって、いつぶりだろ…」
「え?」
「あ、…父さん、再婚前は朝まで働いてたから
ごはんは大体自分で作ってたんだ。」
「なるほど…それで、あんなに飯が美味いのか…」
「…ふふ、兄さんが作ってくれたオムライスも、すっごい美味しいよ!」
「え、でも、玉ねぎ芯残って…」
はっ、としたように結斗さんが口を噤んだ。
気づいてたんだ…笑
思わずクスッと笑う僕を見て少し機嫌を悪くした様子の結斗さんは頬を膨らませている。
それを見ると無意識に何故か口元が緩んでしまう。
芯が残っていようが塩辛かろうが僕には誰かが自分の為に作ってくれたと言うだけで十分美味しく感じられる材料だ。
結斗さんとオムライスをぱくつきながら、何だか距離が縮まったような気持ちになり、世間話をしようと話題を振った。
「兄さんかっこいいし彼女とかいるの?」
女性を感じさせない雰囲気の結斗さんに、なんとなくで聞いてみた。
「…恋人は、いるよ」
「ふーん!やっぱり!
女の子がほっとくわけないよね!」
それよりも、やっぱり!と言いながら、本当にいる事に驚きを持った。
何せ、僕が今まで告白された女の子の中には、彼氏はキープして置いて、上手くいったら楓くんと付き合おうという嫌な考えを持つ子も少なくなかった。
そのため揉め事を避けたかった僕は相手が彼氏持ちかどうか割と目が利く方だと思っていたのだ。
「楓…は、いるの?」
「! 、ぼ、僕?」
まさかのブーメランに驚いてしまう。
「僕も、いるよ」
今日できた彼女を思い出し事実を伝えると
そっか、と返され会話は終了してしまった。
距離が縮まった気がしていたが、会話は相変わらず
続かず、思い上がりだったのか…と悲しくなる。
まぁ、僕の結斗さんに対する印象は変わったのだが。
その証拠と言ってはなんだが、先ほどさりげなく
結斗さんをお兄ちゃん呼びから兄さん呼びへの変更した。
それは、僕か結斗さんを家族として信頼した結果なのだが、彼はその事には気づかないだろうな笑
現在の設定
文字サイズ
行間
背景色
×
8 / 46