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昨日の結斗さんも可愛かったなぁ…。
うん、もう認めるしかない。
アレは可愛い生物だ。
兄だろうと関係ない。
可愛いのが悪い。そうだそうだー!!
頭の中の2人の俺が賛成してるんだ!
多数決(?)の結果、結斗さんは可愛い事が判明した!!!
「……えで…」
「……しかた…にゃぃ…」
「楓!!!」
「はっ!」
ガバッと突っ伏していた机から顔を上げると
そこには僕に呼びかけていた本人がいた。
どうやら午前の授業が終わり、今から昼休みのようだ。
「なんだ、結城か」
「なんだとは失礼だな
折角彼女から呼ばれてるって起こしてやったのに」
「え…あぁ、ありがとう」
「そんな間抜けな顔で愛想尽かされるんじゃね?」
カラカラと笑う結城を睨みつけながら、確かに…、と
半開きの目を擦りながら促された廊下へと向かった。
「あ、楓くん!」
飼い主を目の前にした犬の幻覚が見えそうな笑顔を向けられ可愛いな、と思う。
………?
「今日のお昼私も作ってきたんだよ!
よかったら交換しない??」
「おぉ、いいね!
じゃあ、お弁当持ってきてくるからちょっとまってて」
くるりと教室に戻り自分のカバンから弁当を取り出し
また廊下に駆け足で戻る。
「裏庭のベンチが確かいつも空いてたよね?
そこに行こっか」
クラスが違うカップルがよく昼休みに使うスポットだ。
彼女はセミロングの茶髪を揺らし、僕の少し斜め後ろの所を歩いて着いてくる。
場所がわからないのかもしれないが、奥ゆかしいと思えば
可愛さが増す。
ふふ…犬みたいだ。
………?
何考えてるんだ、これは失礼だろ。
彼女に対して何度も犬を連想させてしまう事に申し訳なさを感じながらも気がつけば目的地に到着していた。
「わ、わぁ…、カップルいっぱい…」
彼女は顔を真っ赤にしてぽそりと呟いていたが、僕らもそうなんだよとツッコミたくなり微笑んだ。
「あ!あそこ空いてるね、座ろっか」
空いているベンチに腰掛けそれぞれの弁当を交換した。
…ちっさい。
やっぱり女の子の弁当はなんて小さいんだろう。
これで本当に足りてるのか…?
とりあえず2人揃って開けてみる。
「わぁっ!楓くんお料理上手なんだね!
美味しそう!!」
自前のフォークを丸い拳で握りしめ、両手をぶんぶん振っている。
僕も彼女の弁当を開いたのだから感想を述べなくては。
「うわぁ…美味しそうだね」
うわぁ…の部分につい本音が混じってしまった。
彼女が作ってくれた弁当の中身はほぼ冷凍食品やスーパーのお惣菜、レトルトだ。
僕はあまり使わないが父さんがたまに買ってきていたのを覚えていた。
冷凍食品は栄養が偏るし、惣菜にレトルトは着色もしてあったり保存料が入っていて添加物が多い。
健康に悪そうな弁当だ。
卵焼きが唯一の手作りっぽい。
焼き目にばらつきがあるから…。
正直美味しそうではない。
「えへへ?!楓くんの為に6時に起きて作ったんだよ!」
僕が弁当完成させて粗熱を取っている時間だ。
「へぇ!ありがとう!
いつも自分で作ってるの?」
「うん、そうだよ?」
どうしたんだろう?と不思議そうにら首をかしげ、こちらの話を待っているようだ。
「…ちょっと健康が気になる…かな」
後から、ははっと冗談ぽく笑ってみたものの、彼女の怪訝になった顔に変化は見られない。
「ほら、これレトルト…だよね?
君の身体に悪いし!」
彼女の心配をしているのにますます険しくなる顔を見て
どうしたらいいのかわからなくなってしまう。
「…わぁ、私の身体の心配してくれるんだ、やさしー」
ジト目で棒読みをする彼女に何も言えなくなる。
と、彼女はベンチを立ち、僕の弁当を持ってそのまま早歩きでその場を立ち去ってしまった。
「…え?」
何が悪かったのかわからない僕はただ1人ベンチに座り呆然とするしかなかった。
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