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「♪~♪♪~~♬~」
寮の廊下を鼻歌交じり(多分ジングルベルの歌……)で歩く浪江先輩の足取りは軽い。若干スキップが入ってる。
ただ、その振動すら今は辛くて。胸元で抑えているブレザーを強く握りしめる。
「──っ、は……」
「ん? どしたの?? ゆうくん」
我慢していた声が微かな吐息となって零れる。それに、軽やかに歩いていた浪江先輩の足が止まる。
「な、んか……っ、からだ、熱くて……!」
真冬の廊下。ブレザー一枚しか着てないのに俺の体は熱を持っていく。
それに一回口を開くと荒い呼吸が止まらなくなって。
しかも、なんか……勝手に濡れてる感じがして、震える手でぎゅっとブレザーの裾の上から下半身を握り締めた。
「ん、やだ……ぁっ」
(なんで、俺……こんな、)
既にぐしょぐしょに濡れてる裾と自分で触れただけなのにびゅくりと何かが溢れてしまう。
アイツらの部屋にいた時は何ともなかったのに。浪江先輩に助けられてほっとしたのも束の間、段々と熱くなる体は今、最高潮で。逃げ場がない。
「何か飲まされちゃった? ゆうく……」
顔を見せないように浪江先輩の胸に埋めてたけど、首を掲げながら覗き込んでくる先輩の目と、涙で霞んだ視界が合わさる。
(きっと俺、酷い顔してる……)
「み、見ないで、くださぃっ」
案の定、俺を見て固まる先輩から顔を背ける。
だけど。
「んー、ちんちん勃っちゃった」
…………はい?
まさかのとんでも発言にこの状況下でも冷静にそう思ってしまった。
(だって、今なんて?)
「ぁ、せんぱっ……」
「ここでヤッちゃってもいーかな? 誰もいないからイイよねっ」
秒で自己完結した先輩は、廊下の窓際の壁に座ると膝の上に俺を跨らせてきた。
(嘘だろ! ここで!?)
そう思うのに、グイグイと下から押し付けられる堅い何かに思考がストップしそうになる。
「ん、ゃっ……やだぁ……!」
「ふふ、ほんとは僕の薬飲ませたかったな。流木くんと同じ仕様だったし」
「流木……?」
その名前に無意識に反応してしまう。
「今頃、他の子とえっちしてるんじゃない? いっぱいいるもん。体だけの関係の子」
先輩の言葉に一瞬だけ体の熱が引く感じがした。
そう言えば、前にも言われたっけ。
性欲処理の一人だって。
(……て、そもそも下僕扱いされてたんだから。いいように使われてたんだ、俺なんか)
「……………………………………」
「……ゆうくん?」
それでも、それでもいいから……。
また関係が欲しいと思ってしまう。あれだけ嫌だったのに。嫌いだったはずなのに。
(……ほんと、バカだ)
自分の気持ちと向き合う意味を、今知るなんて。その答えに今はもう……いや、どっちにしろ報われることはない。
「っ……」
「今、楽にしてあげるからね♪」
それでも流木じゃないとわかっていても体は熱くなる一方で。ジッパーを下ろす音に体が疼いてしまう。
「ぁ、やだっ……」
「最高のクリスマスプレゼントだよ。ゆうくん♡」
「やっ、流木──!」
近付いてきた浪江先輩の顔。唇が重なろうとした時、出た言葉は今一番会いたくて仕方のない奴の名前だった。
「っは……俺のに、触んな……!」
(え!?)
聞こえてきた声に閉じていた目を開ける。横を向くと、そこにいたのは今日ずっと待っていた相手だった。
「あっれー? なんで流木くんがいるの? 誰か呼んでえっちしてるかと思ったのに」
「……るせぇよ。どーでもいいから、ソイツ離せ」
壁伝いにこっちに歩いてくる流木はどこか辛そうで。俺と同様に息も荒い。
だけど、こっちを睨んでくる視線は鋭かった。
「流っ「だぁめだよ。もう僕のなんだから♪」ひ、ぁっ……」
浪江先輩から離れようとしたら、ぎゅっと強くその胸に抱き締められる。
それだけでもビクリと感じてしまう。
「クソッ……」
「ここまで来たのは予想外だけど、限界みたいだね。早く誰かとした方がいーんじゃない?」
床に片膝をつく流木の姿にそう言って、また俺を横抱きにすると浪江先輩は立ち上がった。
「ぁ、はなしっ……」
「僕がたくさん可愛がってあげるから大丈夫だよ。心配ナッシングだからね!」
(っ、そんな!)
このまま離れるのは、姿を見なかった時より辛い。
でも、流木に背を向けて歩き出そうとする浪江先輩を止める術はもうなくて。
加えて追い打ちをかけるように熱くなる体に、ぎゅっと唇を噛み締めて耐えるしかなかった。
(……離れたくない。でも、来てくれた。理由は分からないけど、それだけで十分じゃんか)
そう諦めようとした時、微かに足音が聞こえてきた。
「──だから言っただろ? 歩くにはまだ早いって」
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