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《リクエスト》もう一つの運命( 腐ったミカンさま)
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朝、教室に着くと緋結の周りには人集りができていた。
発情期終わったのかな。
てか、一体なんの騒ぎ…
「あ。おはよ、悠季くん!」
「おはよ…って、緋結!首輪してねぇじゃんっ…」
一週間前までしていたはずの首輪が今はされていなくて。
俺は慌てて緋結の肩を掴んで詰め寄る。
「ふふ、未月くん。よく見て」
「え?」
隣にいた菜由に言われて緋結の首を見る。
「ここ!」
後ろを向いた緋結が髪の毛を上げて頸を見せてきた。
そこにあったのは、
くっきりと残ってる歯形。
「ぇえ!?誰に噛まれたんだよっ…」
まさかαに無理矢理…!
なんて思ったら冷や汗が出てきた。
だけど振り返った緋結の顔はピンク色に染まってる。
「眞尋先輩…」
眞尋…?
俯いて照れたように言う緋結。
誰だよと思っていると菜由が付け足してくれた。
「伊咲先輩だよ。緋結ちゃんが片想いしてた二年生の…」
「…ぁあ!」
え、それがなんで番!?
相手が誰かわかったはいいけどいきなりの展開に頭がついていかない。
「実は今回の発情期前にね…告白したの」
「あ、そ、そうなんだ…」
周りを見ると知らなかったのは俺だけみたいで少し悲しくなった…
「そしたら眞尋先輩も気になってたって言ってくれて…」
「…うん」
「発情期中ずっと一緒にいてくれたんだ」
さっきよりももっとピンク色に染まる緋結は可愛かった。
そっか、緋結もとうとう…
「良かったな、緋結。やっと発情期に苦しまなくて済むじゃん」
そう言うと緋結は俺を見上げてきた。
その目には涙が溜まっていて。
「ありがとっ…悠季くんが今まで助けてくれたから頑張ってこれたんだよ!」
「わっ…」
抱きついてきた緋結によろけてしまう。
「悠季くんがいなかったら僕っ…」
「そんな、俺なんか「何言ってんの、緋結。βなんだから当たり前じゃん」」
…おいっ
「そーだよ!なんの悩みもない平凡な種なんだし、お礼なんて言わなくていいって」
周りにいたΩ性の奴らにいきなり攻められて俺は言い返す隙もない。
「ちょっとみんな、そんな言い方したら…」
「βとか関係ないよ!悠季くんは僕の友達なんだから」
「緋結…」
止めてくれる緋結と菜由に俺まで目頭が熱くなる。
でも周りの奴らは…
「もういいよ、未月なんて!それより伊咲先輩とどうだったの?」
俺にわざとぶつかってその輪から跳ね飛ばされた。
地味に痛い…
「えー、言うの恥ずかしいよ…」
また人集りができると、その中心で照れたように話す緋結の声が聞こえてきた。
もう俺のこと忘れてる…
「はぁ…」
別にいいんだけどさ…
今に始まったことじゃないし。
人集りができてるせいで自分の席にも行けず、俺は仕方なく廊下に出た。
開いていた窓から空を見上げると雲一つない梅雨明けの青空が広がっていて。
清々しいはずなのに、気分は晴れない。
「…なんでこの学校来ちゃったんだろ」
もう一度溜め息を吐きながら、この世界の仕組みを恨まずにはいられなかった。
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