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酒は呑んでも呑まれるな 1
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だがその腕は虚しく空を切った。
凪を軽々と片手で抱えると扉を開け、後部座席に凪を寝かせた。
男は運転席の扉を開け、乗り込むとエンジンの音を響かせる。
祐也は慌てて運転席の窓をドンドン、と、叩く。
「おい!凪をどうするつもりだ!」
凪を返せ!と追い立てる祐也に男は迷惑そうに溜息を溢すと、窓を半分ほど開けた。
「あんた何なんだよ!凪を返せ!」
祐也の問い掛けに、ふ、と口元を歪めると片方の唇が上がる。
「君こそ何なんだ?ただの友人だろ?凪が何をしようが勝手だろ」
「な…っ!、あんたが勝手にしてることだろ!」
そう言った瞬間、男の顔が冷淡とした面持ちに変わった。
「凪は渡さない」
「…っ!」
男の瞳はまるで殺気に満ちていた。
妖しげに歪められた口元。
一言、告げられた言葉の意味を探る。
有無も言わさぬような瞳に祐也の身体が凍りついた。
走り出した車は闇の中へと消えていった。
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