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水瀬さんの勉強に付き合って早3日。
最初は絶望的なまでに長文になると訳せなかった彼であったが、少しではあるが訳せるようになってきた。
…まあ、それでも最低限の問題を解けるまでには来ていないが。
予定していたのは後4日。この1週間が終わったら1度問題を解かしてみて時間の配分を決めよう。んで、結果が良ければセンター問題の対策に行く。時間が全くないから急ぎ足。
「水瀬さん今日は30分でその長文訳してみようか」
「えっ、無理です…」
「本番でそんなに訳すのに時間かけてどうすんの?速く情報整理することに慣れとかないと長文1問も解けないんじゃない?」
「…はい」
「出来るとこまでで良いから」
本番じゃあ30分でも長い位。
だけど、そこは少しずつ読むスピードを速くしていけば良い。
「ん、終わり」
セットした丁度30分後に携帯のアラームが鳴り始め、ストップをかける。
訳せたのは真ん中まで。1週間でどこまで伸びるだろうか。最低3分の2は完璧に訳せるようになって欲しい。
その後は普通に訳させて答え合わせ。違ってた訳は俺が解説とも言えない解説をして、終わったら2題目を始めて、同じことを繰り返す。それで1日3時間の英語の勉強は終わり。
ずっとやらせても集中力切れるだけだから、勉強時間としてはこれがベストだろう。
「…水瀬さん駄目駄目だね」
「う…」
まだ赤色の方が多い日本語訳をしたノート。
黒色になっている文は全体の3分の1もない。赤ペンで書かれたものの中には合っている訳と同じレベルのものもある。
凡ミスを無くせばもうちょい訳せるようになりそうだな。
「でも、水瀬さん前より全部に目を通す時間早くなったし、訳せるようになってきたから本番までこの調子で頑張ろうね」
「落として上げるタイプ…お帰り癒しの狼城…」
「何言ってんだ…?」
ふにゃりと顔を緩ませれば、何故か水瀬さんが手を合わせ俺に頭を下げた。
「お帰り」って何だ。俺はずっとここにいたぞ。
「わんこ~、水瀬終わっ…え、何この宗教団体。わんこ教祖なの?」
「え、ちが…」
そのタイミングで桐華さんが教室に入ってきて変な目で見られた。
違、桐華さん。言い訳させて。俺は関係ない。関係あるかもしんないけど関係ない。
「ごめんねわんこ。この馬鹿に付き合わせて。はい」
「あ、ありがと…」
「桐華俺のは?」
「無い」
「そんなー…」
桐華さんから貰った缶コーヒー。しかも俺が好きなやつ。買ったばかりなのかまだ温かいそれ。
「あんたは貰える立場にいないでしょ」と自分の分はなく、しょんぼりしている水瀬さんにも容赦無い一言。恋人であっても手加減はしないようだ。
「…水瀬さんちょっといる?温かいよ」
「マジ狼城癒し系。いるだけで癒される」
「…う、ん…?」
一口飲んだ缶を落ち込んでる水瀬さんに差し出すと、訳の分からないことを言われた。
それは、ありがとうって言えば良いんだろうか。返しにくいな…。
「わんこ良いわよ水瀬甘やかさないで」
「桐華は俺にちょっと優しくして…」
「今大事な時期でしょあんた。落ちるわよ気抜いてたら」
「…ふぁい」
…2人はあれなのかな。ちょっと桐華さんの方が立場が上なのかな。
まあ、仲が良いなら、それはそれで良いんだけどね。
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