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「だって狂ちゃん、俺のこと警戒してるくせに心配してんだろ?おかしいっしょそれ。普通に考えて」
「…ぬ」
そんなこと言ったって、知ってる人間なんだから心配になるのは仕方ないだろ。そこまで笑わなくて良いじゃないか。流石に俺そこまで非情なやつだと思ってないんだけど。
「警戒心があるんだかないんだか。…っクク、やっぱあんた"優しい"人っすね」
「ん…っ?」
ふにゃりと、見せたことのない笑顔を作り、朝生田が俺を撫でてきた。年下に頭を撫でられるのは複雑だが、そんなことよりもこっちの方に驚いた。嗚呼、こいつってこんな顔もできたんだな、って。
「昔からあんたはそうだったな。人に無関心で冷酷な人間のようで本当は怖がられるからって距離をおいて自分の気持ちを上手く表現できないだけの優しい人で」
「…はぁ?」
「噂なんて当てになんねぇ。結局そいつは虚像に過ぎない」
俺の頭を撫でるそいつが繋げる言葉。その言い方は、朝生田と出会った…ここ数ヵ月間のことよりも前のことを話しているようで。どこか遠くを見る目、俺だけど、俺じゃない何かを俺を通して見ているようなそれは、初めて見たから戸惑いを隠せない。
「あの、朝生田…?」
「んー?」
もう一度、名前を呼ぶと今度はちゃんと朝生田と目があった。またあのへらへらとした笑顔に戻っていた。
「なんすか?」
「え、えっと…」
ー俺お前と昔会ったこと会ったっけ?ー
感じた違和感を聞こうとしたが、流石にそれは直球過ぎてやめた。そんなこと聞いたってはぐらかされる可能性は高いのでオブラートに包んでから聞いた。「先のはどういう意味だ」と。
「んー、あんたが優しすぎ、ってことすよ。俺を心配なんかしなくて良いんで」
俺の求めていたものとは違ったけど、かといって深追いは禁物だからこれ以上の詮索は止めておく。
「で、話戻して怪我だけど、まぁ大丈夫っすよ」
「…そう?」
「はい、まぁ体は丈夫なんで?」
脱線してしまった話題を戻して、朝生田が先した質問に答える。こいつが言うには見た目ほどは酷くないみたいで。それが嘘か本当かは俺には分からないけれど、朝生田がそういうなら俺はそれ以上は聞けない。
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