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2ヵ月前、入学式の日に久夜に出会った。
そこで仲良くなって、バスケ部誘われてにマネージャーとして入った。
授業もオリエンテーションも全部、久夜がいた。
だから楽しかったのかもしれない。
彼方がいるって知って、驚いて、怖くて、それでも毎日この高藤で過ごせたのは、紛れもなく久夜のおかげだと思う。
俺は、それを恋愛感情として久夜に返してもいいのかな。
同じ分の「好き」を返していけるのかな。
俺は……怖い。
この関係を崩して、居心地のよかった場所をなくすことが。それが本当に怖い。
久夜は優しいから。
いつでも待ってくれるんだと思う。
友達のまま立ち止まったままの俺を、置いていかないで待っててくれるんだと。
…じゃあ久夜は??
好きだと言った相手にいつまでも友達で止まられて、それこそ前にも後ろにも進めない。
久夜はそんなことを望んでるわけではないって分かってるのに。
俺はまた、久夜を困らせるんだ。
「…ごめん、全部忘れて。俺は梁瀬と友達でいられるならそれでええ。
つい余計なこと言うてしもうた。気にせんで。」
ほら、すぐに久夜は自分を諦める。
いつまでもうじうじと返事をしない俺がNOだと思って。
俺が困らない道を選んでくれる。
……俺は、いつまでも久夜にそんな顔をしてほしいわけじゃない。
「久夜」
「ん?はよ、帰ろうや。ちょっと残りすぎたな。」
さっきまでの、悲しい顔を全部しまって、いつも通りの久夜の笑顔に戻る。
それがなんだか悲しくて。
…あぁ、俺はやっぱり久夜が好きなんだと、大切なんだと思った。
悲しい顔をしてほしくない。笑っていてほしい。
悲しいとか辛いって思いを隠してほしくない。辛いことがあるなら言ってほしい。
俺ばっかが頼って、たまには久夜も俺を頼ってほしい。
だって…、だって…
「久夜、俺も…久夜が好きだよ。
…だから俺、久夜と付き合う。」
離れていった腕を引っ張って、今度は俺から久夜を抱きしめる。
久夜の動きが一瞬止まって、だけどそのあとさっきよりも強い力で抱きしめられた。
…危うく窒息死しそうなレベルで。
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